【リレー小説】スカイハイ転生学園！～イースター編～ (ページ13)

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リリックガール【マリィ】ページ13

あたしは、頭にこびりついて離れない、ノストラダムスの転生者である親友がさりげなく放った予言をずっと心の中で繰り返していた。
マリィの頭の中で、彼女の無邪気な笑顔と共に、それが鮮明によみがえった。
　『この間ね、『丸い紙で出来た正方形を、水の夏が落とす』っていう予言したんだ。多分これ、『段ボール箱を水夏が落とす』って意味だと思うんだけど』
水夏さん？
そういえば。
―水夏さんって、スカイハイ転生学園転生部部員だったよね？
マリィは必死に頭を動かした。
ユノは『段ボール箱を落とす』と言っていた。
校内に、『段ボール箱を落とす』なんて場所、あったか？
マリィは廊下の端で目蓋を閉じ、脳内でうろ覚えの校内の地図を展開する。
あった。一つだけ、『段ボール箱を落とす』という場所が。
ユノ、有難う。
アンタのお陰で、一人の人を助けることが出来る。
マリィは自信に満ちた笑みを絶やさず、転生部に一番近い階段へと向かった。
　 ☆★☆★
ここだ。マリィは心の中で呟いた。
マリィは階段のそばで息を殺し、ひたすらに転生部部員・水夏さんを待つ。
｢よいしょっと…｣
来た！
うとうととしながら、階段を降りてきている女子生徒がいた。
階段を踏む足は、ふわふわとしていて、今にも足を踏み外してしまいそうだ。
そんな彼女が抱えているのは、重たそうな段ボール箱。
彼女の額には、段ボール箱のせいで汗が滲んでいた。
ユノの予言と、完全一致している。
　「あっ、」
彼女のふわふわとした歩みは階段を踏み外し、段ボール箱が彼女の両腕から逃げ出した。
すべてがスローモーションに見えた。
あたしはまず宙を舞う段ボール箱を捕まえ、その次に彼女が着地できるよう、微量の魔法を送った。
最後に段ボール箱を彼女に手渡せば、完了！
タンッ、と水夏さんの上靴が床に着陸する音が聞こえた。
やった、彼女を助けることが出来た。
そこであたしはある用事を思い出し、その場を静かに離れた。
彼女は不思議そうに周りをぐるりと見まわした後、目的地の転生部へと一歩を踏み出したのだった。
しっかりと、段ボール箱を抱えて。