【アルスマグナ】いやいや、しかし、だからって【神生アキラ】 (ページ4)

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ポロポロページ4

番組が始まって10分。

私自身が司会の代役であることを説明してゲストのアルスマグナさんを紹介した。

彼等の自己紹介を聞き流しながら、先程詰め込んだことをするのは大変だな、と何故か他人事のように考えてしまう。

「一旦CMはいりまーす！」

CM休憩が挟まると、この後の台本を頭に詰め込んでそのまま放送にうつる。

何故私じゃないといけないのかは謎だが、今はこの放送が無事に終わることを願うばかりだった。

『皆さん1時間お付き合いありがとうございました！来週も、もちろん来ちゃってくださいね！バイバイ』

番組は無事終了。
ハプニングなどは一切無く、進行も噛まずに済んだ。

…はぁ、疲れた。

肩の力を落としたのもつかの間、プロデューサーは私の元へ歩んでくる。

その顔はあからさまに穏やかなものじゃなかった。

「いい加減にしろよ。なんだあの司会は、もう少し上手にできないのか」

『…えっ』

「えっ、じゃない。グダグダなんだよ。番組終わったらお前の責任なんだぞ！自覚してんのか！」

現場の空気がひんやりと冷たくなるのを感じた。

周りの視線が私に向かっているのは重々分かっている。

プロデューサーの尊敬する部分は仕事が早いことだ。

しかし、仕事に熱があるからこそ自分の考え通りに物事が運ばないと不機嫌になってしまう。

私は頭を下げて絞り出すように、申し訳ございませんでした。と謝罪した。

プロデューサーは頭を下げる私を見たのか見向きもしなかったのか、何も言わずスタジオを後にして、私もその後に続くようにメイク室へと向かった。

こぼれる涙などと言う可愛らしいものは流れてこなかったのだった。