可愛くなってやる。【名前変換オリジナル】 (ページ27)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:44,852 hit

二十七話ページ27

「くはっ!」

自分の声に驚いてあたしは飛び起きた。

驚いて周りを見回すと、ケラケラと笑う美希がいた。くっそ。やられた。

彼女のデコピンは殺人級の威力がある。

「外見てみ？」

まだヒリヒリと痛むおでこを擦りつつ、外を見ると……。

「わぁ……！」

東京とは違う町並みが、目の前に広がる。

と同時に車内放送が流れた。

「もうすぐ京都だ！」

わーいわーいと騒ぐ千佳をあやす美希はサル使いに見えたそうな。

新幹線を降りるとクラスごとにバスに乗り込んだ。

もちろんあたしの隣には美希。

「ねーねー美希ー！今日の予定ってどんな感じー？」

「知らないわよそんなもん。実行委員にでも聞きなさいよ。」

冷たくあしらわれているのに笑顔の絶えない千佳はよっぽど朝の仲直りが

嬉しかったようだ。

「陽菜ー今日の予定ってどんな感じー？」

「今日はね、まず三十三間堂行って、清水寺行って、最後に南禅寺だよ！」

「へーそーなんだ……。ありがとう！」

あんたどれがどの寺かわかってんの？バカにしたような美希の声が聞こえてくる。

「うん？ワカッテルヨ？」

冷や汗をたらしながら答えるあたしを美希がいじめる。

「三十三間堂って何だっけ？」

「え……おっきな大仏がいて、藤原のなんとかが作ったんじゃないの？」

深いため息が何人かから聞こえた気がしたが、気にしないことにする。

「うん、ドンマイだね。」

後ろの木島からもバカにしたような呟き。

しゅん……としたあたしに眞木が言う。

「まーまー清水寺では自由行動あるしさ。」

パアッと輝く千佳の顔を見て顔を赤くしている眞木の存在には本人と千佳以外は

全員気づいている。

アイコンタクトをした美希と木島がほぼ同時に言った。

「千佳～一緒にまわるか！大翔も一緒にさー……」

「大翔は俺とまわるだろ？」

『ア、キグウダネ。イッショニマワロウヨ。ミンナデ！』

恐ろしく気持ちのこもっていない二人の声。

それに気づいていないのはおそらく千佳ただ一人。

「やったー超楽しみ！」

背後にわくわくという効果音がうかんでそうなほどテンションの上がった

千佳を見る美希はまさに母親のようだった。