二十五話 ページ25
修学旅行の日の朝は早い。
しかも集合場所は学校ではなく、駅だ。
いつもとは少しだけ違った慣れない道を、
「なんで新幹線使うのにこんなにはえーの?!」
朝っぱらからそこそこの大声で悪態をつきながらあたしは歩く。
もう2、3にんのサラリーマンには怪訝な顔を向けられた。
でもそんなことじゃめげない。さらに大声をあげてみる。
他の子たちはお母さんが車をだしてくれたりするのになぁー!
やっぱうちの母上は鬼だなー般若だなーひどすぎるなー!
そう叫んでみるけど今から状況が変わるはずもないので足は止めない。
とりあえず駅を目指し、黙々と歩いた。
散々文句は言ってるし、美希との仲直りの件も本当はかなり不安だけど、
きっと心のそこはこの旅行が楽しみでもあるのだろう。
いつもよりも足が軽い。
「おはよ!千佳!」
と、突然聞きなれた声がした。
美希だ。私が後ろを向くと満面の笑みを浮かべた美希がいた。
……相変わらず美人だ。
てかこいつも歩きか。美希の好感度が数ミリ上がった。
「はよー。あたしらって新幹線の座席どこだっけ?」
「はぁ?あんたそんなことも覚えてないの?バカじゃない?」
「は、はぁ?バカって言った方がバカなんだしー!!」
「ふっ。なにそれ小学生かよ。まぁ、ウチも覚えてないけど。」
「ハッ!美希だってバカじゃーん!ざーまーあー!」
「失礼ね。ウチ成績いいし、ウチが聞けば誰でも教えてくれるもーん!」
「うわ、うーざ。魔性の女めー!」
なによそれー!
後ろから怒る美希の声が聞こえるが、その声には微かに笑い声が含まれている。
なんか、このやりとり、ひさしぶりだ。
今だ。今なら言える気がする。
「あのさ美希。」
改まってどうしたの。笑いながらいう美希だったが、
いつになく真剣な顔をするあたしを見て、美希も私に真面目な顔で返した。
「何?大事な話?」
一度深呼吸をしたあたしは真っ直ぐ美希の目を見た。
「あたしさ、美希に言われて気付いたんだ。人のこと偉そうに軽蔑して、自分だけ偉い
ような気になって。そのくせ同じ状況になったら、同じことしか考えられなくて。
あたしってバカだなーって。美希が怒ってくれなかったら分からなかった。」
そこまでいい終えて、また一度、深呼吸。
精一杯の笑顔を浮かべていう。
――本当にごめん――
――本当にありがとう――
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マスカット(プロフ) - 葡萄シャーベットさん» すみません、レスにし忘れました…… (2018年4月5日 18時) (レス) id: 42164fbd9c (このIDを非表示/違反報告)
マスカット(プロフ) - 嬉しいです!ありがとうございます!(´∀`*) (2018年4月5日 18時) (レス) id: 42164fbd9c (このIDを非表示/違反報告)
葡萄シャーベット(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き楽しみに待ってます、頑張って下さい! (2018年4月5日 14時) (レス) id: f6cb6ae02b (このIDを非表示/違反報告)
マスカット(プロフ) - 緩芳さん» ありがとうございます!がんばります! (2018年4月3日 13時) (レス) id: 42164fbd9c (このIDを非表示/違反報告)
緩芳 - とてもお面白かったです!これからも頑張って下さい♪ (2018年4月3日 9時) (レス) id: c0887ec13b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マスカット | 作成日時:2017年2月4日 22時