69：私の居場所 ページ9
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斗「裏口はあっちだ」
『え？』
斗「お前の居場所は他にあるだろ？」
『何言って・・・』
斗「お前は、"神崎A"だ」
『だって、あの後、相談して
二人で西園寺家を守っていこうって・・・』
斗「Aには、もっと大事なものがあるんだろ？」
『そんな・・・できないよ、斗真ひとりに押し付けて』
斗「バーカ。お前の力なんて借りなくて十分だよ。
それに、俺はずっとひとりで生きてきたんだ。
やっと居場所が見つかった。守らせてくれよ？」
そう言って斗真は、"なぁ？"と、蓮くんの頭をわしゃわしゃと撫でた。
蓮「Aと一緒に住めると思ったのに・・・」
『蓮くん・・・』
５歳の彼は、今回のことを
どう理解してどう受け止めているのか。
胸が苦しくて、まだ小さな身体をそっと抱きしめた。
『蓮くん、ありがとう。大好きだよ』
恥ずかしそうに頬を赤らめた彼が、とても愛おしかった。
斗「ほら、見つかる前に早く行け」
ぶっきらぼうに言う斗真に、思いっきり抱きついた。
溢れそうな涙が見られないように。
斗「後は俺がなんとかするから、たまには顔出せよ？」
『うんっ・・・ありがとう・・・』
"ありがとう"じゃ足らない。
でも、どうにか伝わっていてほしい。
そんな気持ちを込めて、ふたりに手を振った。
『大好き！ お兄ちゃん！！』
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蓮「"お兄ちゃん"だって」
斗「なんか・・・照れんな」
蓮「ぷっ」
斗「笑うな」
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何も変わらないのに
たった１ヶ月なのに
なんだかすごく懐かしい感じがした。
駅前ですれ違う人々も、ラーメン屋さんの看板も、のら猫の鳴き声も。
便利屋"オーライ"の古びた外装も。
あの後、彼らがどうしているのか全く知らなかった。
話したいことは山ほどあるのに、あれっきりだった。
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七海(プロフ) - はじめまして！最後まで読ましていただきました。とても、楽しかったです！有難うございました (2016年9月4日 7時) (
レス) id: 242f38b7c7 (このIDを非表示/違反報告)
sakie(プロフ) - お疲れ様です！楽しくて更新をいつも楽しみにしていました！また素敵な作品、お待ちしております！ (2016年3月24日 19時) (レス) id: 8158c8412c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コハル | 作成日時：2016年1月24日 22時
