63：再会 ページ3
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和「ったく・・・冗談分かれよ・・・」
『っ、か・・・』
和「あーもう、いいから。何にも言うな。
お前の言いたいことは大体分かったから」
子どもを落ち着かせるように背中を優しく擦る。
和「今まで、いろーんな事件に関わってきましたけど
後ろから殴られるなんてなかったんすよ。
それが、今回はこの有様。なんでか分かる？」
『・・・』
和「あなたが、ただの"依頼の対象"じゃないから。
カッコ悪いことに、すげー必死だったわけよ、俺」
少し身体を離して
あたしの唇に人差し指を当てた。
和「アイツに触れさせる訳にはいかなかったんで・・・」
『っ・・・』
心臓が、うるさいほどに脈打っているのが分かる。
和「ぷっ・・・ひでぇ顔・・・」
『う、うるさっ・・・』
反論しようとしても
涙の痕を親指で拭っていくから
声が出なくなる。
和「・・・」
頬に添えられた手が止まって
彼の視線も、あたしの眼の奥を捉えて止まった。
ゆっくりと近づく彼の顔。
綺麗な二重に、すっと通った鼻筋、薄くて口角の上がった唇。
そっと、瞼を閉じた。
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・
バンッ！！！！
『！！』
突然の音に瞼を挙げると、彼と至近距離で目が合って
さらに驚いて二人してパッと離れた。
音の正体は、勢い良く開いた部屋の扉だった。
全身黒い服の男に突き飛ばされ、一人の男が倒れこむように部屋に入ってきた。
扉は再び乱暴に閉められ、鍵が掛けられた音がした。
入ってきた男が、ゆっくりと顔を上げる。
目の下の隈、殴られた痕、痩けた頬。
虚ろに揺れる瞳が、あたしを捕らえた。
和「斗真！！」
あの事件以来の
大好きな兄との再会だった。
斗「・・・A・・・」
掠れた声であたしの名を呼んだ兄は
力なく微笑んで、こちらへ一歩踏み出した。
『っ・・・』
すぐに駆け寄って、今にも倒れそうな兄を抱きとめた。
『斗真っ・・・』
斗「A・・・よかった・・・」
すっかり大人になって
きっと酷い目にあってボロボロで
でも、あの頃のままの兄がいた。
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七海(プロフ) - はじめまして！最後まで読ましていただきました。とても、楽しかったです！有難うございました (2016年9月4日 7時) (
レス) id: 242f38b7c7 (このIDを非表示/違反報告)
sakie(プロフ) - お疲れ様です！楽しくて更新をいつも楽しみにしていました！また素敵な作品、お待ちしております！ (2016年3月24日 19時) (レス) id: 8158c8412c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コハル | 作成日時：2016年1月24日 22時
