貴女と共に永遠を【織田作之助】 ページ37
横浜の海を蒼空が照らしていた。
時計台の下の待ち合わせ場所。
「すまん、待ったか?」
走ってきた織田作が私の前で膝に手をつき、肩で息をする。
「ううん、全然。織田作とのデートが楽しみすぎて1時間も前についてその間ずっと暇でそわそわしてたとかじゃないから」
「そうか...すまん」
頭をかき、気まずそうに目を逸らされる。今は集合時間から10分経っている。いつも遅れない織田作なのに珍しい。
嫌な予感が頭をよぎるが織田作を信じていないようで情けないので考えないようにした。
「で、どこ行くの」
「え、ああ...Aが行きたいとこでいい」
「もう、いつもそればっかり...」
「すまんな、いつも」
少しむくれると織田作は申し訳なさそうに笑って目を細めた。
デートは楽しかった。赤レンガ倉庫を見に行ったり、美味しい昼ごはんを食べたり、買い物を楽しんだりした。
ひとつ気になることがあるとすれば今日の織田作は心ここに在らずのような生返事が多い事だ。朝の嫌な予感が脳裏をよぎる。
日もくれて夜になった。
私達は横浜の夜景が綺麗に見える海沿いを歩いていた。
冷たく吹く風が頬を撫でて気持ちいい。
「話したいことがある」
緊張した声で織田作は言った。
別れ話か、とすぐ合点がいった。
今日の織田作を見ていたら私の他に女がいることなんて明らかだ。
「え...なぜ...泣いている...」
指を頬に当てると濡れていた。
私は泣いてたのか。
織田作が私の横であわあわし始める。
...分かってる癖に。
「私の何処が駄目だったの?面倒くさかった?それとも私よりも可愛い子ができたんでしょ...?」
終わりたくなかった。
終わりたくない癖に織田作の2番手になるのは嫌だった。本当に、我儘な女。
「ちがう」
「何が違うのよ。いっつも好きなのは私ばっかり...」
「ちがう!!」
腕を引かれ、強い力で抱き締められた。
「好きだ、A」
耳元で甘く囁かれる。
「っ...」
「勘違いをさせたのは悪かった」
そう言って織田作は私から離れると小さな箱を取り出して開けた。
中には街灯の光を反射してきらりと光る指輪。
「俺の嫁になってくれないか」
てっきり別れ話だと思っていたので頭が真っ白になる。
「俺と一緒に歩んで欲しい」
返事が出来なくて織田作に抱きつく。
さっきとは違う幸せな涙が零れた。
本当に私は幸せ者だ。
ぎゅっと胸倉を引っ張って背伸びして織田作にキスをする。
「返事は...それでいいか」
柔らかく笑った織田作が一緒に幸せになろう、と言った。
夜景をバックにどちらともなくまた唇が重なった。
行かないで離れないで(1)【双黒】→←スカウトマン(2)【芥川龍之介】
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(=^・^=) - 今、芥川役で『龍ちゃん大好き』になってるトコなんですよ…。 (2020年12月3日 14時) (
レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィオラ - しぐれったさん» ？？？「２４歳！学生です！！」 (2020年5月12日 14時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
しぐれった(プロフ) - みうさん» そそそそそそそそんな意図なかったですよ。べ、別に書いてる時に先輩感出たけど誰も気づかないかって投稿とかしたりしてませんよ……わ、私は淑女ですから。 感想ありがとうございます！緩い気持ちで読んでってください (2019年7月27日 0時) (レス) id: cac4953071 (このIDを非表示/違反報告)
みう - 野獣と化したってwwww野獣先輩じゃんww このお話とても面白いです!!! (2019年7月26日 20時) (レス) id: 40cf893d3e (このIDを非表示/違反報告)
しぐれった(プロフ) - 実胡斗さん» リクエストありがとうございます。そしてお返事遅れてしまいすみません。リクエストですが、続編の方に書かせて頂きましたm(_ _)m (2019年7月7日 14時) (レス) id: c7820e4193 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぐれった | 作成日時：2016年6月7日 0時
