認められた日。 ページ10
「いらっしゃいませ、太宰さん、作之助さん」
久し振りに、二人が来てくれました。
嗚呼、と返事をする作之助さんと、ニヤァッと口の端を吊り上げる太宰さん。
「『作之助』さん?もしかしなくても二人って……」
「嗚呼、付き合ってる」
作之助さんの天然が発動し、太宰さんは更に笑みを深め、厨房からは拍手。
太宰さんは分かるんですけど、何で厨房からも「おめでとう」の雄叫び聞こえるんです??
「注文はお決まりですか?」
「とにかく辛い咖喱を頼む」
「作之助さんいつもそれですね。私うんと辛くしてって言ってるんですけど……」
「全く辛くないな」
「嘘……」
「私を空気にするのやめてもらえる?」
また戻ってきた幸せな日常に、浮き足立っていたのでしょうね。
もふもふと咖喱を頬張る作之助さんと太宰さんを見て、はたと思ったんです。
もしかして、太宰さんもポートマフィアなのではないか、と。
まあ、本当に太宰さんがその一員だったとしても、恐れる要素は何一つありませんけどね。
だって、作之助さんの友人ですから。
気になったものですから、お皿を下げる時、聞いてみたんです。
「太宰さんと作之助さんは、同じ職場で働いてるのですか?」
「……織田作の職場、聞いた?」
ひやり、と冷たい目を太宰さんに向けられ、どくりと心臓が跳ねました。
それは、確かに怖かったけれど、作之助さんに『来るな』と拒まれた時の方がもっと怖くて、もっと絶望したから。
「はい、聞きました」
と笑いかける事ができました。
「……一般人が私のこれ見て笑えるの初めて見たよ」
太宰さんは驚いたようにそう言って、笑いました。その表情は、作之助さんに見せる笑顔と一緒で、漸く認めてもらえたんだ、と安堵したことを覚えています。今までの私に見せる顔は、全部作り物めいていたから。
内心とっても嬉しかった日の事、忘れません。
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べにしょうが(プロフ) - もえさん» コメント有難うございます!もう一度読もうと思ってくださって嬉しいです!!こだわって、丁寧に書いた所を好きだと言ってもらえて幸せです。この小説に出会えて幸せと言っていただいて有難うございます!こちらこそ幸せです!読んでくださって有難うございました!! (2021年8月7日 22時) (レス) id: f3b55f3d47 (このIDを非表示/違反報告)
もえ - 今日はちゃんと最後まで読むことができました、織田作の優しさとたまに見える青年らしさからくる脆さがすごくすごく悲しくなって好きです。この小説を書いてくれてありがとうございます。この小説に出会えて本当に幸せです。駄文長文で申し訳ないです… (2021年8月7日 22時) (レス) id: 76c1001e6f (このIDを非表示/違反報告)
もえ - 前に一度拝見させていただいたのですが悲しくて辛くなって途中で読むのをやめてしまいました、今日織田作の夢小説を漁ってたところこの小説にたまたま出会った為何かの縁だと、もう一度見ることにしました。夢主の幼い子に語りかけるような優しい口調に何度も泣きました (2021年8月7日 22時) (レス) id: 76c1001e6f (このIDを非表示/違反報告)
べにしょうが(プロフ) - 雨音。さん» コメント有難うございます!嬉しすぎて何を書けばいいのかちょっと迷っているのですが、あの、すごく嬉しいです!5票目が入ってた時の気持ちは今でも覚えてます……!雨音。さんだったんですね!報われた感じがしたのを覚えてます。雨音。さんも更新頑張ってください! (2021年7月10日 13時) (レス) id: f3b55f3d47 (このIDを非表示/違反報告)
雨音。(プロフ) - 支離滅裂なコメントで申し訳ありません。語彙力がないので上手く表せませんが、とにかく好きです!素晴らしい作品をありがとうございました!! (2021年7月10日 13時) (レス) id: f0e54de105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べにしょうが | 作成日時:2021年1月13日 7時