5-8 走れ zm視点 ページ12
森を駆け抜ける。
今は夜8時頃だろうか。
もう城を走り出てから1時間近く経っている。
少しでも早く着くようにと、道ではない所を走ってきた。
その為、時間的には短くなったが、体力が厳しい。
途中で横から生えていた木に顔や体を当て、かすり傷や切り傷が着いていた。
｢…っは、はぁ…っ。｣
一旦止まり、息をつく。
ここまで休憩無しで走ってきたが、中々に疲れ、疲労困憊だ。
固く舗装も整備もされていない道は足を取られやすく、早く走るとなると少しも気をゆるめることは出来ない。
それが余計に体力を削った。
午前からずっと動いてなかったため、少し固くなった体に鞭を打つ。
｢…あと、あともう少しなんや…っ！｣
明日の朝に行ってしまうのなら、引き止めるのも気持ちを伝えるのも今夜がラストチャンス。
流れ落ちた汗を拭い、また足を前に押し出した。
やがて、暗い森の中に微かな光が見え始める。
街灯。
もう町は、目前だ。
木が少なくなり、地面も整えられていく。
現在時刻は遠くの時計塔でおおよそ8時半。
町の飲食店は仕事終わりの男達がたむろい、ワイワイと盛り上がっている。
だが、酒やツマミが広がる屋外テーブルには目もくれず、また走り出す。
目指すは町の中心地の向こうにある彼女の店。
待っててな、もう少しで行けるから。
｢…着い、た。｣
見慣れた店の外装。
店内はもう暗くなっているが、奥の自宅は明るく光っている。
深く息を吸い込む。
これが、最初で最後の告白や。
…気ぃ引き締めんと。
お店の鍵は不用心にも掛かっていなかった。
ガラリと開けて中に入るが、彼女が出てくる気配は無い。
代わりに裏からは物を漁る音や走り回る音が聞こえてくる。
…荷造りしているのだろうか。
カウンターに入り、靴を脱ぎ捨てる。
ギシリ、ギシリと1歩を踏み締めながら廊下を抜けた。
そして、たどり着くのはリビングへの扉。
そのドアノブに手を掛た。
心臓が、体が。
今までに無いくらい高鳴り、熱を帯びている。
だが、一瞬だ。
｢好き｣という言葉を出すのは一瞬なのだ。
覚悟は、決まっている。
ドアノブをひねり、奥へと押した。
広がるのはもう何回も来て見慣れた部屋…では無く、片付けがされて殺風景な部屋だった。
その中に1歩踏み込んで見渡せば、食器なども片付けられている。
本当に、どこかへ行くんや。
｢…ゾムさん？｣
突っ立っている僕にかかるいつもの優しい声。
そちらを見れば、本を持った彼女が居た。
｢どうしたんですかっ…!?｣
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Riitter(プロフ) - 夢見りあむさん» 本名！？うおお、すごい偶然もあったものですね……笑 (2019年11月15日 21時) (
レス) id: 795b5e2765 (このIDを非表示/違反報告)
夢見りあむ - 作者さんの名前が私の本名で一瞬焦りましたw (2019年11月9日 23時) (レス) id: a454904879 (このIDを非表示/違反報告)
Riitter(プロフ) - 紅葉秋さん» 生きがいだなんて…嬉しいです…!!お付き合いありがとうございました!! (2018年10月13日 11時) (レス) id: 8401485740 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉秋(プロフ) - この小説を読むことが生きがいでした...完結お疲れ様でした！！ (2018年10月13日 6時) (レス) id: 952224511f (このIDを非表示/違反報告)
Riitter(プロフ) - みかんさん» あっあっ嬉しいです…!!ここまでお付き合いありがとうございました！ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 8401485740 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Riitter | 作成日時：2018年10月1日 19時
