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其ノ参拾四/ ページ35

.〚side_紅丸〛






_______愛しい彼奴の匂いがした。

意識がはっきりしてきて目が覚めたのだと知る。
人の温もりが感じられる右側へ顔を向ければ、此方を向いたAと目が合った。

彼奴は何も言わずに見つめた儘だ。
酒_____まさか昨日の事を覚えていないのか、と思い此奴を試す事にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「お前ェ、又口吸いされてェのか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
何とも初々しい反応だった。
其の言葉を浴びるや否や、Aの頬は見る見るうちに紅く染まっていく。
其の表情から、昨夜の出来事を覚えているのだと確信出来た。

(うぶ)だとは思っていたが、まさか此処までとはなァ。

顔を見られたくないのか、Aは両腕で顔を(おお)った。
普段見る事のないAの表情に気分を良くし、からかってやりたくなった。

"嫌だ"、と拒まれれば、やりたくなるのが人間の(さが)だ。
大人気ないかもしれないが、力を込め両腕を剥ぐ。
考えるより先に身体が動いていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「...何て顔してやがる、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

________理性の糸が切れるのを堪える。

潤んだ瞳、紅く染まった頬、艶っぽい唇_____
不意に覗いた奴の顔は俺の想像を超えて、色っぽかった。









_______嗚呼、此の表情は

ただこういう行為に慣れていないからなのか。
其れとも、自分の事を好いているという事なのか。
 




そんな事を考えていると紺炉に呼ばれた。
紺炉は何も悪くないのだが、水を差されて思わず舌打ちをした。











何事もなかったかの様に部屋へ入り、定位置に座る。
Aの方を見ると緊張しているのが分かった。
全くの上の空であり、唇の横に付いた飯の粒に気付いていない。
みっともねェから取ってやろう、勿体ねェから食べるか、其の位の気持ちであり企み等一切なかった。



_____其れなのに、Aときたら如何だ。
そんな瞳で見つめられれば嫌でも気付く。
如何したものかと聞いてやれば、下品だ何だと言われる始末。
Aが走って出て行った後、俺は紺炉とヒカヒナから質問攻めに合った。





「A逃げてったぞ!?ドーユーコトだ!?」


「若が何かしたのか!?ドーユーコトだ!?」


「若...Aに何したんだよ...」


「チッ、何でもねェよ」


「「「何でもなく

  ないだろ.../ねェだろ!!」」」






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陸玖(プロフ) - ななせさん» コメントありがとうございます!(泣) 駄文ですがこれからもお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年1月3日 22時) (レス) id: 1f019e150b (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - 小説書くのがお上手なんですね!!これからも楽しみにしてます!夢主ちゃんが可愛いです… (2021年1月3日 21時) (レス) id: cde300d373 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:陸玖 | 作成日時:2020年12月11日 2時

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