其ノ拾伍 ページ16
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「ったく、若も若だが、AもAだ。
気にする必要ねェってのに」
「...新門大隊長の為に其処まで...」
「若は人を惹きつける天性の力を持っている。
仲裁の為に此の身を張った事も後悔はしていない」
紺炉はシンラの方を見て告げる。
「男なら分かるだろ？
俺は若を担ぐ為ならこんな安い命、幾らでも捨てられる」
シン、と部屋の空気は静まり返る。
＿＿＿＿＿アタシだってそうだ。
紅丸に救われた此の命、紅丸を、紅丸の愛する此の浅草を守る為なら捨てても良い。
ずっとそう心に決めていた。
自分一人のちっぽけな命等惜しくはない、と。
「...そんなの駄目ですよ」
シンラによって沈黙が破られた。
「自分は物心ついた頃には家族を...大事なモノを全て失ってしまった。
だから自分には安い命も高い命もない、皆大事な命です...！
俺は"皆"を救うヒーローになりたい！！
紺炉中隊長、又命を捨て様とする前に俺を使って下さい！！
役に立ちたいんです！！」
シンラは曇りのない、真っ直ぐな瞳を紺炉に向けていた。
そんなシンラを受け入れた様に、紺炉はシンラの胸をトン、と叩いた。
「...ありがとよ、お前の気持ちは受け取った。
お前にとって大事なモノが出来るまで、頼りにするよ」
「大事なモノ...」
紺炉がゆっくり立ち上がった。
顔色も、心なしか倒れた時より良くなっていた。
「話に付き合って貰ってる間に気分も良くなった。
いつまでも寝てらんねェ、俺も聞き込みに行くか」
「我々も調査に協力する訳にはいきませんか？」
「構わねェよ、俺がついて行ってやれば問題ねェだろ」
紺炉に続いて立ち上がり、シンラ達を見て告げた。
『紺炉、出掛けるなら新しい羽織りを取ってくるから待ってろ。
第8の皆、アタシも一緒に行くよ。
アンタ等の事疑ってるワケじゃないけど、紅丸に見とけって言われたしなァ』
紺炉の服を整え、アタシ達は詰所を後にした。
...シンラの言う事も一理ある。
命は平等で、掛け替えのないモノだ。
そんな事は、人の命を守る火消しになった時から心得ている。
＿＿＿＿＿それでも、
目の前の天秤に自分の命と紅丸の命が掛けられたら、
アタシは迷わず、自分の命を投げ出すだろう。
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陸玖(プロフ) - ななせさん» コメントありがとうございます！（泣） 駄文ですがこれからもお付き合いいただけると嬉しいです！ (2021年1月3日 22時) (
レス) id: 1f019e150b (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - 小説書くのがお上手なんですね!!これからも楽しみにしてます！夢主ちゃんが可愛いです… (2021年1月3日 21時) (レス) id: cde300d373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陸玖 | 作成日時：2020年12月11日 2時
