其ノ四拾参 ページ3
．
『何だろう...又二人で酒でも飲むのか？』
湯船に浸かりながら、先程紅丸に呼ばれた理由を考えていた。
恋人になって初めての夜。
宴の時はあまり一緒に居られなかったため、もう少し紅丸との時間が欲しい＿＿＿＿＿＿そう思っていた。
浴衣を身に纏い、紅丸の部屋へ向かう。
冷えるかと思い、いつも着ている法被を羽織ってきたが丁度良かった様だった。
部屋の前に着き、一声掛ける。
『紅丸、アタシだよ』
「入れ」
返事を受けてゆっくり戸を開けた。
中を見ると、布団の上に紅丸が片膝を立てて座っていた。
「こっちに来い」
紅丸はそう言いながら、自分の隣を軽く叩いた。
部屋の中を見渡しながら大人しく指示に従い、隣に座った。
『あれ、酒は用意してねェのか。アタシはてっきり「おい」
発した言葉は紅丸によって遮られる。
「お前ェ、やっぱり何も考えずに来たみてェだな」
奴がそう告げた時には既に、己の顎に紅丸の手が添えられていた。
ハァ、と一つ溜息を溢したかと思うと、アタシの方へ顔を寄せて耳元で囁いた。
「男の部屋に来る意味...幾ら鈍感なお前ェでも、分かるよな？」
『...ッ、！？』
いつもの声に比べ、更に色気が増した低音の声色に顔が火照るのが分かった。
其れと同時に、其の言葉の意味を理解した。
"夜の営み"＿＿＿＿＿＿奴はきっと其の事を言っているのだと。
『え、えっと...そのッ...』
完全に思考回路がショートしている。
何と返事を返せばいいか分からず、意味を持たない言葉しか出て来なかった。
顔を離した紅丸は伏し目でアタシを見やった。
其の表情は何とも色っぽく、紅丸の指の腹が己の唇を軽く撫でただけで身体がビクッと震えた。
今から其れを行おうというのだろうか。
絶対に無理だ。心の準備が出来ていない。堪ったモンじゃない。
此の場から逃げなければ＿＿＿＿＿＿＿そう思うのに、紅い瞳がアタシを捉えて動けなかった。
そんなアタシの考えとは裏腹に、
次に降ってきたのは、何とも優しい声色だった。
「安心しろ、何もしねェよ」
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國深(プロフ) - うに太郎さん» 完結ではないんですが、一度占ツクから離れており最近覗きに戻ってきた感じです(汗) すぐすぐの更新はできないと思うのですが、きちんと完結できればと思っております。 (3月31日 21時) (
レス) id: 048d167eb0 (このIDを非表示/違反報告)
うに太郎(プロフ) - これで完結でしょうか…😢 (2023年2月26日 14時) (レス) @page17 id: 717bee0437 (このIDを非表示/違反報告)
しおきゃらめるぱふぇ - "てめェは黙って俺に愛されてりゃ良い" グッハァッ(/ω＼) かっこ良し男かよ (2021年7月30日 9時) (レス) id: c7f2f9aa97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：國深 | 作成日時：2021年1月3日 22時
