検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:28,130 hit

[弐] ページ3






 





大隊長会議から数日後__________

伝導者の調査の為、第7の管轄地である浅草に訪れた。



突如として起こった白装束による騒動も落ち着き、
夜も遅いという事で第7の詰所に泊まる事になった。




 





『...寝れん』




 





いつもと違う場所だからか、
其れとも騒動での興奮が冷めていないからか、
布団に入り目を瞑っても寝付けなかった。

気分転換にと部屋を出て空を見れば、三日月が輝いていた。

もう少し眺めてから寝よう、そう思い縁側へと行き腰掛けた。




 





『...凄かったな、"紅月"』




 





運が良いのか悪いのか。

第8の皆が新門大隊長と喧嘩になった時、
皿や湯呑みを片付けに厨房に居て駆け付けるのが遅れた。

角付きの"焔ビト"が現れた時も、其の場に居合わせる事が出来なかった。

しかしあの大爆発を見れば、最強という噂は本物であると確信出来た。





アタシもあんな風に、もっと強く...




 




 





「寝れねェのか」




 





噂をすれば影が差す、とは良く言ったものだ。

後ろを振り返れば、
今まさに己の脳内を支配していた人物が目の前に居た。




 





『あ、はい...中々寝付けなくて、』




 





...気まずい、二人きりは凄く気まずい。

大した絡みもないし、如何接したら良いか分からん...!





部屋に戻って寝よう、そう思った矢先、



 





「お前さん、酒は飲めるか?」



『え、と...少しなら...』



「なら一杯付き合え」




 




新門大隊長はそう言うと、
アタシの横に座りお猪口に酒を注ぎ始めた。




 
逃げられなくなった...。





酒が用意される僅かな時間で考えを巡らせたものの、
話題は一つも浮かばなかった。

ほらよ、と目の前にお猪口が置かれた為、
手に取ろうと腕を伸ばした。




 





「今日は、色々と世話ンなったな」



『...いえ、消防官としての職務を全うしただけです。

 お礼を言われる様な事は何も、』



「お前さん、第七(ウチ)の奴等の世話迄してくれたみてェじゃねェか」



『え、』



「昼飯や茶を配ってくれただの、手拭いを交換してくれただの、
 ウチの隊士達が言っていた」



『其れは、自分に出来る事をしただけで...』



謙遜(けんそん)は要らねェ、お前ェは




 




 





 気の利く良い女だ」




 





突然放たれた言葉に驚いて顔を向けると、
新門大隊長と視線が絡まった。




 





_

[参]→←[壱]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
151人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

理音(プロフ) - ありがとうございます!︎^ ^ (2月27日 0時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
Riku(プロフ) - 理音さん» コメントありがとうございます!最近またこちらに顔を出し始めたので余裕ができたら更新するかもです◎ (2月23日 21時) (レス) @page8 id: 048d167eb0 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (2022年4月19日 19時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:國深 | 作成日時:2021年1月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。