55 キャパオーバー ページ11
．
目を開けば、身体が重かった。
「Aちゃん？ 起きたの？」
私の部屋だ。そばにはお母さんがいた。
「お父さん、Aちゃんが起きたわ！」
「A！ 良かった。目が覚めたんだな」
お父さんも入ってくる。
手を握られたけれど、力が入らない。
なんだろう。とても疲れた。
「私……どうしたの……？」
「リカバリーガール先生が言うには個性のキャパオーバーが原因で、疲労が激しいらしい。動かず、休んでいなさい」
キャパオーバー。今までそんなことなかったのに。
お父さんの手を握り返そうとしたけれど、無理だった。
「相澤先生は？ Ａ組の皆は？」
「聞いた話によれば、両脚が重傷の生徒が一人と先生方三人が負傷したって……」
シナリオ通りならば、それはデクくんのこと。
それにオールマイト先生に、13号先生に、相澤くん。
「明日は臨時休校よ。ゆっくり休んでね、Aちゃん」
お母さんの声に、静かに頷く。
私に出来ることはない。瞼を閉じれば、二人とも部屋を後にした。
「……」
でも、眠れない。
なんとか自力で起き上がって、机の上の鞄からケータイを取る。Ａ組の皆からラインが来ていた。大丈夫の問いかけ。
マイクくんからも来ていたけれど、相澤くんからはない。
だから電話をかけた。でも出ない。
「……っ」
ケータイを握り締めて、俯く。
大丈夫だ。きっと大丈夫。
相澤くんだって、言っていたじゃないか。
大丈夫だ。
私は次に根津お父さんに電話をかけた。
〔やぁ！ 起きたんだね、良かったA〕
「根津お父さん……」
〔でも休んでいた方がいいんじゃないかい？〕
優しい声。涙ぐんだ。
「……お父さん、ごめんなさい。私、役に立てなかった……」
〔そんなことないよ。聞いたよ。君の個性で広間の敵を捕獲して、相澤くんを救ったって。彼だけじゃない。生徒のことも救ったんだよ〕
「もっと早く思い出せれば、誰も傷付かずにすんだ……！」
私は知っていたのに、阻止出来なかった。
涙を溢す。ボロボロと止まらなかった。
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BENI(プロフ) - 人間さん» 面白い、ありがとうございます！続き更新しました！これからも更新頑張りますね！ (2017年8月9日 7時) (
レス) id: df61bdf79c (このIDを非表示/違反報告)
人間 - 面白いです！続きが気になって仕方がありません！更新頑張ってください!! (2017年8月9日 0時) (携帯から) (レス) id: 4c296c8310 (このIDを非表示/違反報告)
BENI(プロフ) - となりさん» いつもドキドキと愛読ありがとうございます！ マイクくんとの絡みですか！ どうでしょう、難しいかもしれませんが考えてみます！ (2017年8月8日 9時) (レス) id: df61bdf79c (このIDを非表示/違反報告)
となり(プロフ) - いつもドキドキしながら愛読させていただいてます！！マイク先生との絡みをリクエストしてもいいですか…？！ほんとこの作品素敵です涙 (2017年8月7日 19時) (レス) id: 8a86bba9fd (このIDを非表示/違反報告)
BENI(プロフ) - 魔都さん» ありがとうございます！直しておきました！ (2017年7月27日 7時) (レス) id: df61bdf79c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：BENI | 作成日時：2017年7月15日 10時
