【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ10)

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「逃げてる！」
「男のすることじゃねえけど仕方ないぜ。しかし変だよな……」

　デクくんの逃げた先は壁だった。しかし、切島くんが言う変はそれではない。二人が何かを叫び合う。それを見ているだけで胸が熱くなって、翼を大きく広げてしまいそうになった。

「爆豪の方が余裕なくね？」

　その時、双方が動いた。
　デクくんが真っ向から挑もうとしたように見える。

「先生！！ヤバそうだってコレ！先生！」
「双方……中止……！」

　切島くんが叫んだあとにオールマイト先生が制止の声をかけたが、遅すぎた。
　交わるかと思った一撃は、予想もしない方へと向かった。
　爆豪くんの一撃はデクくんへ。でもデクくんの一撃は、真上へ放たれた。
　そのデクくんの一撃は、お茶子ちゃんと飯田くんのいた上の階にまで届く。お茶子ちゃんの”個性”は無重力。重力をなくした大きな柱を使って飛び散った瓦礫の破片を打った。飯田くんが身動き取れないでいる隙に、ぴょんと跳ねたお茶子ちゃんは核兵器に飛び付いた。

「ヒーローチーム……ＷＩＩＩＩＩＮ！！」

　核兵器回収に成功したため、勝利したのはデクくんとお茶子ちゃんのヒーローチーム。

「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら……」

　お茶子ちゃんは”個性”の副作用らしく床に座り込んでしまっていた。デクくんの方は最後の一発を受け止めて限界が来てしまったらしい。起き上がる気配がない。

「勝負には負けて、試合には勝ったというところか」
「訓練だけど」

　違う。常闇くんと梅雨ちゃんという生徒の声に、耳を傾けながら、そう思う。
　デクくんは爆豪くんの一撃を読んだ上で防いで、訓練に勝つ算段をつけていた。もしもあのデクくんの一撃を爆豪くんに向けていたら、勝負に勝ったのはデクくんの方だったかもしれない。
　モニターに映る爆豪くんは、驚愕しているように見えた。
　モニターで見えていた余裕のなさや、私怨丸出しの行動。才能からして自尊心も高そうな爆豪くんにとって、この敗北は大きすぎるかもしれない。

　なんて思っていればいつの間にか、オールマイト先生が爆豪くんの肩に手を置いていた。これから講評の時間だ。デクくんは重傷のため、保健室へ運ばれていった。