【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ38)

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　ぐりっと包帯まみれの手に小突かれた。やっぱりあの手の温もりが恋しくなって、キュッと胸が締め付けられる。

「私がしたいんです。諦めてください、せーんせ」

　気を取り直してにこりと笑って、そばを差し出す。
　相澤先生は、肩を竦めた。

「わかった。……だが、代償は付き物だ。弱点を突いてやるからな」
「怖いな、はーい！」

　とりあえず観念してくれたけれど、弱点の件は譲らないらしい。後に私は自分の弱点のことを思い知る羽目になるのだった。それはもっとあとのことだ。
　その放課後のことだった。

「何ごとだあ！！！？」

　教室の外はザワザワと賑わう人混みで、出れなくなってしまった。どうやら敵の襲撃を耐え抜いた一年A組を視察に来たらしい。

「意味ねェからどけ。モブ共」

　そんな生徒達に吐き捨てる爆豪くん。

「知らない人の事をとりあえずモブって言うのやめなよ！！」
「飯田くん、そこなの？」

　挑発的な発言全体を注意した方がいいと思う。

「どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍するやつは皆こんななのかい？こういうの見ちゃうと幻滅するなぁ」

　一人の生徒が前に出て、言った。そこで私は間に入る。

「ああ！？」
「まーまー爆豪くん。いやいやいや、爆豪くんは特別。どうも、紅羽です」
「……そゆうの、いいんで」

　自己紹介して握手しようとしたのに、断られた。ガーン。

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。知ってた？」
「？」
「体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ……」

　それは知らなかったと私は驚く。最悪の場合、ヒーロー科から抜けてしまう可能性もあるのか。そんな心配いらないように思えたけれども、おごっちゃいけないと緊張感を持つことにした。

「敵情視察？少なくとも俺は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつーー…宣戦布告しに来たつもり」

　大胆不敵。どうやら彼は普通科らしい。

「隣のB組のモンだけどよぅ！！敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ！！エラく調子づいちゃってんなオイ！！」

　また不敵な生徒が現れた。銀髪という派手な髪。

「本番で恥ずかしい事んなっぞ！！」
「……」
「……」

　皆が注目するのは、モブ扱いした爆豪くん。