【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ37)

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36 相澤先生、あーん。ページ37

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「蛙吸くんが言っていたように、超絶パワーも似ているし、オールマイトに気に入られてるのかもな。流石だ」

　どうやらデクくんの話らしい。姿が見えない辺り、オールマイトに呼ばれたのだと推測出来た。

「……どう思う？紅羽」
「ん？超絶パワーが似てるかどうか？似てると私も思うよ」
「……そうか……」

　轟くんは何かを考えるように視線を落とす。

「オールマイトにも気に入られてると思う。だって最初の戦闘訓練の時、戦わせてあげてたみたいだし、普通止めてたよあれは」

　何を話していたかはわからないけれど、私もデクくんバーサス爆豪くんの戦いの行方は気になって仕方なかった。
　一番になってやる、と決意を震えた声で言い放っていた爆豪くんを思い出す。私だって、と闘争心を密かに燃やした。

「……そうだよな」

　返ってきた声は上の空だったけれど、私のそばが出来たので先に失礼させてもらった。二人分のそばを落とさずに早く運ぶ。
　急ぐ先は職員室。入ってきた私を見た相澤先生が、げんなりした表情になったことは包帯まみれでもわかった。

「いい加減にしろよ、紅羽。非合理的だ」
「言い争っている方が非合理的です。はい、あーんしてください」

　マイク先生の席を借りて、早速そばを食べさせようとする。ギロリと睨まれても、先生に止める術はないので諦めてもらう。包帯を少しずらして、少量のそばを口の中に入れた。

「……あとで覚えておけよ、紅羽」
「課題増やしてもいいですけど」
「合理的に欠くことはしない」

　他の生徒は嘆くかもしれないけれど、課題が増えたくらい痛くも痒くもない。仕返しは合理的にするらしい。なんだろう。

「はい、あーん」
「……おまえの弱点、知ってるんだからな」
「え、何ですか、弱点って」

　一度手を止めて、目を丸くする。

「私に弱点ですか？」
「……気付いてないのか。気付かれないと高を括ってるかだな」
「何ですか、何ですか」
「教えてやるから世話を焼くのやめろ」
「それは嫌です」

　相澤先生が言う私の弱点は気になるけれど、食べさせることはやめられない。絶対にだ。

「先生……私、本当に心配してるんですよ……。脳無っていう敵にねじ伏せられた先生を見た時、どんなに怖かったか……」
「……」

　意地悪でやっているわけではない。俯いて、あの時を思い出してしまう。

「恐怖で動けないって、初めて経験しました」
「……おまえのせいじゃないだろ」