【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ35)

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「お昼は何にしますか？」
「おまえ……そこまで世話を焼くつもりか？」
「だってその手じゃ何も食べれないじゃないですか」
「ウォーターonゼリーなら充分だ」
「だめですよ！ゼリーだけじゃだめですから！！」

　前から思っていたことを言う。ランチはいつもゼリーで済ませているであろう先生は不健康だ。ランチは何としてでも食べさせてやると意気込む。
　相澤先生は嫌々そうに溜め息をついた。

「おっはよう！相澤先生が来たよ！」
「……お早う」
「相澤先生復帰早えええ！！！プロすぎる！！」

　教室のドアも開けて、閉める。「席につけ」と言われたけれど、教壇に着くまで寄り添った。そこまで送り届けたら、すぐさま爆豪くんとデクくんの間の席に座る。

「俺の安否はどうでも良い。何よりもまだ戦いは終わってねぇ」
「戦い？」
「まさか……」
「まだ敵がーー！？」

　後ろの席だけではなく、クラス全体に緊張が走ったのがわかった。

「雄英体育祭が迫ってる！」
「クソ学校っぽいの来たあああ！！」

　一転、安堵をする一同だった。

「待って待って！敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか！？」
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。何より雄英の体育祭は、最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」

　雄英体育祭は、日本のビックイベントの一つ。かつてのオリンピックに代わるもの。それを中止するわけがない。
　当然プロヒーローも観る。それはスカウト目的で、だ。

「資格取得後はプロ事務所にサイドキック入りが定石だもんな。そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも多いんだよね」
「上鳴あんた、そーなりそう。アホだし」

　上鳴くんに、響香ちゃんは辛辣。上鳴くんは見るからに落ち込んだ。

「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれれば、その場で将来が拓けるわけだ」

　息を飲んでワクワクを抑え切れずに、笑みを浮かべてしまう。

「年に一回……計三回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ！」

　

　体育祭は二週間後。今から待ち切れない。
　士気が上がっても、通常授業はある。焦がれるような気持ちに耐えて、通常授業を乗り越えた。
　昨日の奇襲なんて嘘のように、大盛り上がりする教室を出ようとしたら、梅雨ちゃんに呼び止められた。