【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ32)

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「生徒の安否を確認したいから、ゲート前に集まってくれ。ケガ人の方はこちらで対処するよ」

　その壁の正体は、コンクリートを操る個性の持ち主、セメントス先生のセメントの壁だった。

「でもっ」
「先生の言う通りだぜ！紅羽！ラジャっす！！」

　デクくんが心配な私の腕を掴み、切島くんは出入口前にあるゲートへと足を向かわせる。
　警察も駆けつけて残された敵連合は逮捕された。

「両脚重傷の彼を除いて……ほぼ全員無事か」

　デクくん以外の生徒はほぼ無事。

「え、あのあと伏兵がいたの！？」

　百ちゃんからあのあと潜んでいた敵に、上鳴くんが捕まったと聞かされた。

「ごめん、三人とも！ちゃんと確認すべきだった！！本当にごめんね、上鳴くん！！」

　怖かっただろうに、と上鳴くんの手を握る。彼は頬を赤に染めて慌てた。

「いいよ。それにAちゃんがいてもやばい状況だったし……」
「……」

　私がいても、上鳴くんを救けられた保証はない。でも阻止は出来たかもしれない。怖い思いをさせなかったかもしれなかった。私が単独行動したせい。

「Aちゃん、そんな顔すんなって。今度飯奢ってくれ。それでチャラにしようぜ」
「上鳴くん……」

　親指を立てる上鳴くんは笑顔を見せた。
　私もつられて笑ってしまう。

「私も油断しましたわ……Aさんのせいではありませんが、もう単独行動はやめてくださいね」
「うん、百ちゃん」

　百ちゃんに微笑んで注意されて、笑顔で頷く。それからハグをした。
「え、俺にもハグを」と上鳴くんが言いかけたけれど、響香ちゃんに頭を叩かれる。

「とりあえず生徒らは教室へ戻ってもらおう。すぐ事情聴取ってわけにもいかんだろ」

　塚内と名乗る刑事さんに促されたけれど、聞きたいことがある。

「刑事さん。相澤先生は！？」

　相澤先生について問えば、病院に問い合わせてくれた。

〔両腕粉砕骨折、顔面骨折……。幸い脳系の損傷は見受けられません。ただ……眼窩底骨が粉々になってまして……眼に何かしらの後遺症が残る可能性もあります〕
「だそうだ……」
「っ……」

　後遺症が残る可能性があるほどの外傷。痛ましく思って、顔を歪めてしまう。