【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ26)

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「厚さ100mmの絶縁体シートです、上鳴さん」
「上鳴くん、3秒！」
「ーー…なるほど」
「2」

　私は敵を蹴散らして、噴射を使う。50mもない。地面すれすれのところを滑り込んで、シートの中に飛び込んだ。
炎の翼は瞬時に消した。

「1」
「これなら俺はーー…クソ強え！」

　上鳴くんが放電。まさに一網打尽。多くの敵を退治できた。

「さて……他の方々が心配……。合流を急ぎましょう」
「つか服が超パンクに……」
「また創りますわ」

　百ちゃんの服は大きな絶縁体シートを創ったせいで、上半身が裸同然になってしまっているけれど、創造出来る。
　上鳴くんはヘロヘロで「うェ～～い」と親指を立てた。
　響香ちゃんは慌てて百ちゃんを隠す。
　私はすぐにシートから出て、翼を広げる。

「先に行くね！」
「お待ちを！単独行動はいけません！」
「大丈夫！」

　百ちゃんが引き止めるけれど、私は先に移動をしようと飛び上がる。とはいえ、高所恐怖症なので低空飛行。山岳から降りた。
　敵連合と名乗る連中の目的は、オールマイトの殺害。
　けれども生徒を散らして殺すとも言った。
　数でオールマイトを殺すかと思ったが、あのチンピラたちでは彼を殺せない。そもそも私たち生徒用らしい。
　ならば本命はーー…相澤先生の元にいるかもしれない。
　中央噴水に急いだ。そこで見た光景はーー。
　脳ミソ剥き出しの敵が、相澤先生をねじ伏せられていた。頭をコンクリートに叩き付けられた相澤先生の姿を見た瞬間、思わずピタリと動きが止まってしまう。恐怖で動けない。
　相澤先生がっ……相澤先生がっ！
　ガッと熱が骨の髄から込み上がってきた。

「本っ当かっこいいぜ、イレイザーヘッド」

　あの手まみれの異形な男が、水際にいた梅雨ちゃんの顔を掴んでいる。何らかの個性を消しているらしい相澤先生が、また頭を叩き付けられた。
　考えるよりも先に体が動く。脳ミソ剥き出しの敵の首目掛けて蹴りを決めた。けれども、ビクともしない。それに私を見もしない。

「手っ……放せぇ！！」

　次に動いたのは、同じ水際にいたデクくん。飛びかかり殴ろうとした。

「脳無」
「SMASSH！！」

　ズドッとデクくんの一撃が決まったように見えたが、違う。私の目の前にいた脳ミソ敵がいない。奴はデクくんの前にいた。デクくんの怪力の一撃すら効いていない。