【ヒロアカ】フェニー【轟焦凍】 (ページ13)

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「轟くんと交戦中。確保を試みる！」

　状況説明を簡潔に尾白くんへ伝える。
　そして、轟くんに挑む。伸ばされる右手から冷気を感じ、すぐさま左の翼で振り払う。熱で轟くんの顔が歪んだ。その隙に轟くんの左手に確保テープを巻き付けようとした。パシッと左手で叩かれる。
　また右手が突き出されたが、炎の翼で払う。そのやり取りを二、三度繰り返した。息もつけぬやり取りだ。
　その最中、私は思い切って蹴りを決めた。が、いなされる。
　だが、彼も右手で捕まえる余裕はないようだ。
　右翼で噴射、半回転をして左翼を叩きつける。相手は氷。手加減なしで済む。というか手加減出来ない相手だ。
　すると、パキパキと足元から音がした。足元から凍らせるつもりだ。
　瞬時に飛び上がって、噴射をしながら炎を撒き散らして距離を取る。辺りは凍っているから、火事にならずに済む代わりにびしょ濡れ。ビチャンと音を立てて着地した。

「……イラつくな」
「！？」

　確かに聞こえた轟くんの声。

「悪いが、勝たせてもらうぞ」
「私の方こそ」

　ギッと睨んでくる轟くんに、私は笑って返す。
　次の瞬間、水溜りがピキンッと凍りついた。反射的に飛び上がったけれども、ブーツについた水滴を追いかけて、凍りついてしまう。轟くんは畳み掛けるように氷を広げて、私のロングブーツを完全に凍らせた。

「っ！！」

　翼で溶かす間も無く、確保テープが巻き付けられる。

　私の負けだ。

「悪かったな……クソ親父を思い出したから……」
「？」

　ボソリと独り言を漏らして、轟くんは先を行く。その後ろ姿を見ながら、首を傾げる。でもブーツが冷たくて堪らないので、翼を当てて溶かした。

「ごめん尾白くん！私が戻って尾白くんと一緒に戦えば勝ち目があったかもしれない！ごめん！」

　相手は一人で乗り込んできたのだ。二人で相手するという手もあったと、今更気がついて頭を抱えた。
　すると、じゅわーと壁と天井の氷が溶け始める。

〔いや……レベルが違いすぎたよ〕

　無線から諦めた声が聞こえた。そんなことやってみなければわからない。でも負けは負けだと、私は肩を竦めた。
　講評の時間。今戦のベストはもちろん轟くんだ。凍らせて、仲間も巻き込まず核兵器にもダメージを与えず尚且つ敵も弱体化した。対抗した私もちょっぴり褒められたけれど、負けてしまったので素直に喜べなかった。
　爆豪くんの視線を感じたけれども、彼は大人しかった。