【雨音】 (ページ38)

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宮「Aちゃん」

「なに？」

宮「さっき“嬉しい”って言ってくれたよね。」

「う、ん？」

宮「俺、本気で嬉しかった。

感情を剥き出しにしつくれて。

…これからも、教えて？Aちゃんが思ってることや、感じてること全部。」

「…うん…ありが、とう」

誰かに知りたいとか言われるの初めて

誰かに興味を示されることが初めてで、

嬉しいって言う感情を感じて

思わず涙が零れかける

宮「だめっ！」

「えっ」

宮近くんは大きな手を私の頬に被せ

親指でひと粒の涙を拭った

宮「泣き顔じゃない。笑顔なAちゃんがいいな」

「ふふっ」

宮「あ！笑ったね！Aちゃんにはそれが1番似合ってるよ！！

それじゃ、また明日学校でね？」

「うん！また明日」

宮「俺といっぱい笑ってこ！！ばいばい！」

「ばいばい！」

宮近くんが見えなくなってから家に入る

『わざわざありがとう』

とか

『気をつけて帰ってね』

なんて気を使った言葉がでなかった

私ってやっぱり人と関わるのに向いてないな…

自分の部屋に入ると

やっぱり拭えない孤独

きっと宮近くんは家に帰れば

お母さんやお父さんがいて

みんな笑顔で食卓を囲んだりしてるんだろうな

「羨ましがったって現実は簡単に変わらないよね」

そうだ。

私は今日“嬉しい”と言う感情を手に入れたんだ。

幸せを欲張っちゃいけない

天罰がまた下るのは嫌だ

窓を開けるとすっかり雨はやんでいた

薄暗く広がる空はもうすぐ真っ暗になりそうだ

ごめんなさい宮近くん

まだちゃんと前を向くことが出来ません

弱くてごめんなさい

そして今日もまた深い夜に溺れていく