【雨音】 (ページ30)

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「Aちゃんの力になりたいから……」

宮近くんが私にくれた言葉が頭の中でループする

「ふふっ」

嬉しくって思わず頬が緩む

久しぶりに日常生活の中で笑えた気がする

私にだってみんなと同じように幸せになれるんじゃないかと錯覚してしまう程に…

…

だけどいつだって

私は、神様に見放され…嫌われるんだ。

ｶﾞﾁｬｯ

玄関の扉を開ける

「えっ…、？！」

そこには大人の男性くらいの大きさの汚れた靴が乱暴に脱ぎ捨てられていた。……そう、私の父さん

「なんで…？まだ夕方なのに…」

つい先日殴られた傷が恐怖で疼く

待て…冷静になれ…私
酒に浸り、眠ってるかもしれないし、ね？

「寝てるなら…忍びながら自分の部屋に行ける、」

私は1人、玄関から見えるリビングに入るための扉を見つめ恐怖に脅えながら考えた

ﾊﾟﾘﾝｯ

扉の向こうから聞こえる食器が割れる音

「あっ……」

不覚にも駄目だそう感じた

ｷｰ扉がゆっくり開く

父「おう、A帰ったか」

ニヤニヤと不気味な笑顔をこちらに向ける父さん

無理だ

どうしよう

そう思った瞬間、私の頭に浮かんだのは私の力になりたいと微笑んでくれた宮近くんの顔だった

逃げろ…足を動かせ私、！！

「ごめんなさいっ」

訳もなく謝ってガチガチに固まった足を何とか動かし家を飛び出した。

またあの公園へと逃げる

prrrr……

宮「はい！もしもし宮近です。」

「宮近…くん？」

宮「えっ？なぎさちゃん？！どうしたの？」

「…助けて、！」

オレンジ色の美しい夕陽の下で

気付けば無意識に私は宮近くんに助けを求めていた