【雨音】 (ページ20)

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彼がクラスメイトだなんて聞いて驚いた。

「青木Aです…」

なぜ私が自己紹介なんてしているのだろうか。

今頃未練なんて無しに死んでたはずなのに…

久々に誰かとちゃんとしたコミュニケーションを取ったのでオドオドしてしまった。

宮「Aちゃんか！俺のことは呼びやすいように呼んでくれたらいいからね。」

彼のコミュ力が高いお陰で気まずい雰囲気をあまり感じずに済んだ。

「じゃあ、宮近くん？」

宮「うん！てか、なんで疑問形？？」

「いや…あの。ごめん、帰るね。」

私は一体何をしているんだろう。

彼と喋るうちに自分の醜さにふと気づいて、いつの間にか帰る宣言をして走り出してしまった。

家の前に着くと、私は家に入るのを躊躇した。

見捨てれないだなんて言葉を投げかけられて喜んでいた自分が気持ち悪く思えた。

こんな私に助けの手を差し出すだなんて相当なお人好しなんだろう。

宮近くんは私のこの容姿に全く触れてこなかった。

普通なら気持ち悪がったり、質問攻めをしてくることが多いはずなのに触れてこなかった宮近くんはきっと優しさに溢れている人だ。

「待ってよ私の頭の中…宮近くんでいっぱい？」

死のうとしていたクセにのこのこ地獄の檻に入りに帰ってきた自分は馬鹿だ。

でも、宮近くんが見捨てれないなんて私に言うから

少しだけ希望が持てたんだ。

「まだ生きてても、悪くないかな…。」