四十四話、贈り物 ページ44
「確かに先生の言う通り神羅は俺達の贈ったものとかずっと大事に使ってますし…神羅には悪いけど丁度いいかもしれません」
「この間、神羅が使ってたボールペンとか俺っち達が十年前誕生日にあげた奴だったしな〜。中のインクだけ変えて上手く使ってら…おそまつさんっと」
一二三は先日神羅がメモをしていた時の古い安物のボールペンを使っていた事を思い出していた。
「マジかよ……捨てていいんだぞ……」
独歩は食べる手を止めて深くため息を吐くと言った。それ程迄に神羅は二人の事を大切に思っているのだろう。
「そ、それは確かに凄いね…壊す事なく十年も同じボールペンを…」
「いやーあんときゃ驚いたなぁ…」
「俺も、今すごい驚いたぞ…こうなるならもっと良い奴買ってやれば……」
もごもごと口に米を運びながら少し話す。
その時は神羅が誕生日と言うことに気づかず、慌てて近くの文房具屋で雑に選んでしまったものだった。だが神羅はそんなものでも喜び、今も使い続けている。
「さて…これを食べたら選ぼうか。私はそういうものに疎いから、二人が選んだ方がいいと思うな。…ごちそうさまでした」
寂雷は過去の話に花が咲く前に口を挟み、手を合わせる。どうやら食べ終わったようだ。
「あっ、は、はい!ご、ごちそうさま。美味かったぞ、一二三」
独歩も慌てて残りを食べると手を合わせ、食器を下げに行く。
「うーん……神羅に似合うやつかぁ……長いネックレスはあまり好きそうじゃないし……ペンダント?」
「そうだな、それがいいかもしれない。指輪とかも考えたがそもそも指の大きさ知らないもんな」
「じゃあペンダント……つっても俺っちのいっぱいあるよ〜?使ってないのとか、ノリで買ったのとか……オーナーや後輩君達からもらったのとか……」
一二三は自室の棚の前に立つとざっくりとアクセサリーの種類を絞り、ペンダント類が入っている大きめの籠を取り出す。
ぱかりと開けると中には貰った時や買った時の箱が沢山あり、それら全ての中身が入っているのだろう。
「これは派手過ぎるだろ…こんなのあったんだ…地味過ぎるなぁ…うーん……うわゴッツ…ねぇ独歩〜」
「なんだ?」
「せんせーにも選んで貰おうぜ…こんなん無理だ〜!」
ぽいぽいとそこら辺にばら撒いていたペンダントの箱を籠に入れながらそう言った。
独歩は少々悩んだようだが賛同し、一二三の自室からリビングへと移動する。寂雷は今、リビングでテレビを見ているようだ。
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伏見桜(プロフ) - ちょっと待ってもう50話??????????ポッセ描いてたのにこれに気付いてタッチペン投げてしまった……。これも一重に皆様が読んでいただいておりますお陰です。誠にありがとうございます。 (2020年5月6日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 水月さん» ありがとうございます!!お久しぶりでございます、まだまだ終わりは見えませんがいつでもフルスロットルで頑張らせていただきます! (2020年5月1日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
水月 - お久しぶりです!続編も見させて頂いてます!これからも更新頑張ってください! (2020年4月30日 4時) (レス) id: 13085b09f2 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 時神さん» ありがとうございます!!常に散々な目に遭う主人公ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
時神(プロフ) - たまたま見かけてシリーズ一気読みしました……すごい好きです更新頑張ってください!!!!! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 6a39446066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伏見桜 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月16日 1時