四十一話 ページ41
一郎はそういうとショルダーバックを手に持って来た。自分用のだろう、見事に赤い。
『あ、う、うん……お願い…する、ね…』
「おう、任せろ!……さーぶろー!まだかー?」
神羅から薬がまとめて入っている黄色と緑の配色のポーチを一郎に渡す。このポーチは神羅がなんとなく「一二三っぽいな」と思って買っただけだそうで、本人にプレゼントした筈が何故か使われていた。
一郎の呼びかけに三郎は「今行きます」と扉越しに返すと、本当に直ぐに来た。
三郎は黒いリュックを背負ってパタパタと駆けてきた。あまり物は入っていないのか、ペタンとしている。
「よし、いくか。二郎、知らない奴が来たら出るんじゃないぞ、それと戸締りはしっかりな」
「わ、わかってるよ兄ちゃん…俺もう子供じゃないんだから…!」
「はははっ、俺からしたらまだ子供だぞ〜。いってきます!ほら、三郎、神羅も」
「いってくる…」
『い、いって、きます…』
「いってらっしゃーい!気をつけてなー!」
車椅子を三郎が、神羅を一郎が持ち上げて下へ行くと二郎の見送りで水族館へ行った。此処から歩いて一時間程の所に実はあるとか。
そして時折会話をしながら水族館へと着いた三人。
『ここ…が、水族館……都内にあるなんて…!』
「まぁ巨大な水槽……って言ったとこか」
「間違ってないので大丈夫ですよ、一兄!」
「そうだな」
キラキラとエフェクトが見えるほどに子供の様に喜び黒い建物を見上げる。多少人がいるが、今は知らぬものへの好奇心と楽しみで気にしていない様だ。ここで恐怖症からの併発で過呼吸などになられたらかなり困る。
三郎が手早く受付で三人分のチケットを入手してくれた為二分程で無事中に入れた。
「おっこれがクラゲだな!」
『く、くらげ…!初めてみた…』
「お、クリオネだぞクリオネ!」
『くりおね…確か、食べる時にすごいことに…』
「それは言うな…」
「(今は14時……閉館時間は17時だから……まぁ……その頃には家は大丈夫だよな。帰りも多分徒歩だし…彼奴に先に作っててもらうのが早いか)」
キャッキャと楽しんでいる二人の後ろをついて行きながら三郎はそんなことを考えていた。考えが纏まったのか、スマホで二郎に〈先に晩飯作れ、帰りは19時少し前くらいになるから〉と伝える。上から目線なのは突っ込んではいけない。
「なー三郎見ろよ!めっちゃ居るぞ!」
『すごい……!!』
「……そうですね、一兄!」
59人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伏見桜(プロフ) - ちょっと待ってもう50話??????????ポッセ描いてたのにこれに気付いてタッチペン投げてしまった……。これも一重に皆様が読んでいただいておりますお陰です。誠にありがとうございます。 (2020年5月6日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 水月さん» ありがとうございます!!お久しぶりでございます、まだまだ終わりは見えませんがいつでもフルスロットルで頑張らせていただきます! (2020年5月1日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
水月 - お久しぶりです!続編も見させて頂いてます!これからも更新頑張ってください! (2020年4月30日 4時) (レス) id: 13085b09f2 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 時神さん» ありがとうございます!!常に散々な目に遭う主人公ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
時神(プロフ) - たまたま見かけてシリーズ一気読みしました……すごい好きです更新頑張ってください!!!!! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 6a39446066 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:伏見桜 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月16日 1時