赤いリードと緑のベンチ TH

7.仲良くなったお客さん ページ7

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雲行きが怪しくなってきた空









今日は散歩に行くのやめておこう









そう思い化粧を済ませる朝









予報通りに降ってきた雨









一瞬、頭によぎったあの人のこと









「・・・っ、」









雨だもん




さすがにこないよ…









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一度はそう思ったが




何故かその後も彼のことが気になって









私は家の手伝いへと向かう途中









遠回りになるがあの道を通って歩いてみる









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父「今日仕事休み？」




「うん、連休だから、またレジするよ。」




父「おぅ、助かる。」









新型コロナウィルスが世界中で広まったこの期間





パン屋である我が家も急激に売り上げが落ち込み




経営状態が悪化




バイトの人を雇えなくなり





父と母、二人で営業再開はしてみたものの





客足は以前に比べて半数にも満たない









母「ケーキ出来たよ。」




「私が運ぶよ。」









父が作る焼き立てのパンに





母が作る焼き菓子やケーキ





こじんまりとしたパン屋だが






少しでも売り上げに繋がればと思い





持ち帰り用のドリンクも売り出すようになって









「いらっしゃいませ。」









最近になってよく見えるお客さんが来店








ジミン「今日はいたの？一昨日来た時は休みだった？」




「あっ、一昨日は仕事で、


ここは仕事が休みの日だけ手伝ってて


うちの両親がこの店してるから。」




ジミン「そうなんだ、だからか


時々しかいないのは。


あっじゃあコーヒー、一つお願いします。」









そう言って沢山のパンを選んでは



大量に買ってくれるお客さん









よく話しかけてくれるからすっかり仲良くなって









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「今日はお休みですか？」









何の仕事をしているのか分からないけど




マスクをしているから



その返事がなんて言ったのか正直聞こえなくて









料金を受け取ると



コーヒーとパンを手渡して









ジミン「じゃあまた来ます。」




「はいっ、ありがとうございました。」









黒のキャップから少しだけ見えた目が



見えなくなるくらい笑ってペコリと会釈をして帰って行った









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