赤いリードと緑のベンチ TH

1.出会いは散歩中に ページ1

母「A〜っ！お願い、散歩行ってきて！」



「ん"〜、はぁい・・今起きる。」









眠たい目を擦りながら



愛犬チョコの首輪に赤いリードを繋ぐ









昨日、お母さんが腰を痛めてしまい



滅多に行かない散歩に代わりに行くこととなり



まだ薄暗い中、チョコを連れて外に出る









朝の風が心地良く


いつも見る同じ景色も空が違えばすごく新鮮に思えて









すぐに息が上がるお年寄りのチョコ



走らなくなったチョコのペースに合わせて



川沿いをゆっくり歩いていると








同じように犬を連れて散歩する人とすれ違う









「おはようございます。」



テテ「っ、おはようございます。」









不思議だけど



一人だと知らない人に挨拶なんてしないのに



ペットと一緒だとペットを連れてる人と



自然と会話できる私の中の七不思議









「あっ、チョコ、」









クンクンと匂いを嗅ぎながらお互いに近付いては



チョコの尻尾を追いかけるようにピョコピョコとついて回る犬









テテ「タナっ、アンデェ(ダメ)。」



「あはっ、大丈夫ですよ。ポメラニアン？」









クルクルと絡まっていく赤いリード









テテ「あ、そうです。あぁ、ほら絡まってる、笑」








屈んで縺れたリードに手をかける


マスク姿に真っ赤なキャップを反対向きにかぶった飼主









「名前なんていうんですか？」



テテ「あっ、キム テヒョンですっ。」



「っ、あははっ、じゃなくて犬の名前・・」



テテ「ッハハ、恥ずかしい。」








大きな手で目を隠すその仕草が



恥ずかしそうに笑ってみせたその笑顔が



ただ、ただ可愛く見えた








絡まった紐を解くと黒色のポメラニアンを抱きかかえて









テテ「ヨンタンです。」




「ヨンタン？あ、だからタナっ、」




テテ「そう、名前、なんて言いますか？」




「この子はおばあちゃんのチョコです。」




テテ「チョコ、可愛い。


あっでも、そうじゃなくて・・」









手の平を向けられて









「えっ、私も！？」




テテ「あっそうです。」




「・・Aです。」









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