愛してほしいと叫んだのは、

50 O side ページ50

ついに来た。WBC。


自分の人生設計の中の一つにもあった夢。





ここで、この仲間と共に絶対世界一をとる。








予選二日目、俺は指名打者での出場。




前にいた選手達が呼ばれて次々とグラウンドに子供と走っていく。

俺も自分のエスコートキッズの子と手を繋ぐ。







子供はとても可愛い。

俺と歩く予定の子も男の子だけど、目がくりっとしていてとても可愛らしい子だ。



だけど、緊張しているのか子供の表情は硬い。


少しでも楽しい思い出になってほしいと思い、話しかける。




「よろしくね」

「おおたにせんしゅ、おねがいします」

「礼儀正しくていいね、こちらこそお願いします。お名前は？」

「A恒星です！」

「A…？いくつ？」

「5さいです！」


5歳…


なんだろう、苗字といい、なんかちょっと引っかかる。


「誕生日はもう来た？」

「まだです！8がつです！」

8月？じゃあ今年6歳ってことか…




「ぼく、やきゅうがすきでおおたにせんしゅみたいになりたいんです」

「お！じゃあたくさん食べてたくさん練習して、いつか一緒にプレーしような」

「はい！」

嬉しそうに笑う恒星くんの顔が俺の思い出の中のAの笑顔と被って本当に、それは本当に少しの希望が見えて思わず恒星くんに聞く。






「今日は誰と来たの？」

「ママです！あそこにいる！」


恒星くんが指差した先にいたのは保護者席にいる女性、









目が良い俺が見間違えるはずはない。











それは…


「っ、A、」




会いたくてたまらなかった人。






どれほど心配しただろうか、
どれほど会いたいと願っただろうか、



Aは隣の人に話しかけられていて俺が見つけたことに気付いてないみたいだけど。







　



夢じゃ、ないよな？

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