愛してほしいと叫んだのは、

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大谷くんはプロでの野球のこと、チームメイトのこと、寮でのこと、メジャーのこと、家族のことを楽しそうに、時にうーんと考えたりしながら私にたくさん話をしてくれた。


私も大学のこと、もうすぐ卒業出来ること、家族のこと、友香里と麗花のこと、就活が上手くいきそうなこと、




そして、

大谷くんへの想いと決別するために、後戻り出来ないと自分に分からせるために…



「大谷くん、」

「ん？」

「私、初めての彼氏が出来る…かも…」

「……」

「友達だったんだけどね、この前告白されて」

「聞いてない」

「え、あ、ごめん。付き合ってから言った方が良いかなとも思ったんだけど今日せっかく会えるし、どうせなら直接言いたいなって思って」

「付き合うの」
少し前の柔らかい雰囲気がなくなって大谷くんの目は真剣だ。


「付き、合おうと思ってる…」

「…ふーん」

「大谷、くん？」

「…良かったな」

「あ、ありがとう」


何か引っかかる感じ。
昔、会話のテンポがズレるような気がしたことがあったけど、あの時の感じにとても似ている。
でもそれを感じたのはほんの一瞬で、すぐにいつもの大谷くんに戻っていた。






「そう言えばAさんのお父さん、よく一人暮らし許してくれたよね」

「どちらかというとお母さんとお姉ちゃんに反対されて…」

「そうなの？」

「うん、でもお父さんが賛成してくれたから二人とも納得してくれたの」

「そっか、まぁ、何事もなく一人暮らし出来てるみたいで安心した」







大谷くんが私に向けてくれる笑顔に胸が締め付けられる。








　

正解なんて誰も知らない。

これで良かったのかなんて誰にも分からない。

未来は誰にも分からないんだ。

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