愛してほしいと叫んだのは、

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12月に入り、冬休みまであと少しと迫ったある日、帰ろうとする私を大谷くんが呼び止めた。


「Aさん、俺、日本ハムファイターズに入団する。そこでたくさんプロ野球を学んで人間性も磨いて絶対メジャーに行く」

「っうん！大谷くんなら絶対大丈夫、きっとすぐに日本の宝って言われるくらいになっちゃうと思う」

「俺なんてちょっと野球が上手いだけだよ、上には上が沢山いて日本の宝、なんて言われるのなんて夢のまた夢かも」

「ふふっ、そうかな？大谷くんの活躍楽しみにしてる！」

「ありがとう！」

「こっちこそ報告してくれてありがとう！とっても嬉しい」




「…Aさん」

「なに？」

「これから、北海道での寮生活になるから1月頭には引っ越すんだ」

「…そっ、か」

そうだよね。日本ハムって北海道だもんね、もう、こうやって簡単には会えなくなるんだ。
寂しいな…






「Aさん、北海道の…さ」

「うん？」

「…いや、遠征で宮城も行くから俺の試合観に来てくれる？」

「もちろん！」

「ほんと？すげぇ嬉しい」

「私も誘ってくれて嬉しいよ」

「Aさんが観に来てくれるって思ったらそれだけで頑張れる気がするわ」

「お、大袈裟だよ！」

「へへっ、Aさんも受験、頑張ってな！卒業式は帰ってくるから、どうだったか教えてほしい」

「うん！」





これが永遠の別れではないけれど、大谷くんが簡単に会えない距離に行ってしまうと思うと寂しくて仕方なかった。でも、大谷くんは夢に向かって確実に進んでいる。自分の寂しい気持ちよりも応援したいという気持ちの方が大きかった。



そして大谷くんは１月の初めに岩手を出て行った。



私は1月中旬、2月下旬にセンター試験と2次試験を受けてあとは結果を待つのみとなった。

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