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大谷くんが買ってきてくれたお酒を開けて二度目の乾杯をした。



「大谷くん、」

「ん?」

お酒を飲んで少し眠そうな大谷くんがこちらを向く。


「大谷くんに言いたいことがあって」

「うん?言いたいこと?珍しいね」







「私ね、大谷くんと友達になれてとっても幸せ!ありがとう!」


笑顔で言えば大谷くんは机に顔を伏せた。

「な…で」

伏せたままだからよく聞こえないけど、大谷くんは何かもごもごと言っている。


「大谷くん、ごめんよく聞こえなくて」
「もうだめ」


だめ…?
そのだめは何に対するだめなのか?


もしかして呑み過ぎちゃった?


「だいじょう「A」

え、いま大谷くん、Aって言った…?



伏せていた顔をあげて両手を私に伸ばしてくる。

そして大きな身体に包み込まれた。


「な、なにして」

「Aっ」

「大谷くん、ま、まって」

「無理」


大谷くんは余裕がなさそうな声で私の名前を呼んで、私が待ってと言えば無理と返された。








「わっ!」

急に視界がぐるんと上を向いて大谷くんに見下ろされている。


「嫌だったら、今言ってほしい」

「どう、して」


















「A、お願い…他の男のものになんてならないで」


こんなにも泣きそうな顔の彼を拒む事なんて私には出来ない。













いや、したくない…。



私はまだ大谷くんが大好きなんだと再認識させられる。





床に投げ出された両手で大谷くんの頬を包めば少しだけホッとした顔をする大谷くん。

「A、俺…」

何かを言いかけて黙ってしまう大谷くん。
その先は教えてくれないの?
私は期待してもいいの?





「ねぇ、大谷くん














皆が知らない大谷くんの全部を、私だけに教えてくれる?」

「そんな言葉どこで覚えたの…」


少し笑いながら大谷くんがゆっくり顔を近づけてくる。

私も自然に目を閉じて重なる唇。




この後何が起こるか分からない程、私達は子供じゃない。





私達は自分の気持ちを言葉に出来ない臆病者で可哀想な大人なのだ。

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nanami(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてとても嬉しいです( ; ; )!更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年4月13日 23時) (レス) id: e69a6fea83 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます♡♡続きがとっても気になります(><)!!これからも更新頑張ってください☆ (2023年4月13日 23時) (レス) @page50 id: 05a7f2dc28 (このIDを非表示/違反報告)
nanami(プロフ) - 麻美さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようでとても嬉しいです!(^^) 更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年4月13日 22時) (レス) id: e69a6fea83 (このIDを非表示/違反報告)
麻美(プロフ) - 続きが気になります!更新楽しみしてます!更新頑張って下さい(^^) (2023年4月13日 18時) (レス) @page49 id: 48ac5be23b (このIDを非表示/違反報告)
nanami(プロフ) - ゴリラさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようでとても嬉しいです!(^^) お気遣いありがとうございます(;o;)!更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年4月13日 9時) (レス) id: 0b13e51f49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:nanami | 作成日時:2023年3月24日 7時

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