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私だけのお兄ちゃん/山口孫六 ページ9

私には家族がたくさんいる。血は繋がっていない。
 と、まあかっこつけてみたがこれは事実。私は生まれてからいわゆる児童養護施設というところで育っている。普通の家庭がどんなものかは知らないけどたくさんの兄と姉と弟と妹に囲まれて、毎日楽しい。






「おーす、みんな久しぶり」

「よおおクソガキどもおおお!!」






 それに、たまにお友達も来てくれるから。麻理央お兄ちゃんと同じ学校に通っている友だちらしくてお菓子を買ってきてくれたり一緒に遊んでくれたりと、みんなに好かれている。私ももちろん大好き。






「よ、久しぶり」






 背後から声をかけられると同時に頭に手を乗せられる。誰かはわかっているけど一応振り向くと、そこにはやはり孫六がいた。あ、孫六お兄ちゃんだった。
 会えて嬉しかったけどそれが顔に出てしまうのは悔しくて表情を動かさないように頑張って堪える。






「……久しぶり」

「おー元気そうで何よりよ」






 私の隣に腰をかけた孫六は、弟たちと鬼ごっこをしているビンゾーを見てゲラゲラ笑っていた。マーシーお兄ちゃんは妹や姉に引っ張りだこだし、完介お兄ちゃんとカムイお兄ちゃんは小さい子の面倒を見ている。
 そんな中、孫六だけが私の隣にいる。初めてここに来たときに子どもが苦手だとか言って逃げてきて、そっちも子どもでしょって返したら笑われて、そこから始まった私たちの関係。

 孫六は誰にも見られていないのを良いことに私の手に自分の手を重ねた。






「早く中学校卒業しねえかなあ」

「あと1年切ったでしょ」

「俺がどんだけ我慢してると思って」






 私が中学校を卒業したら、孫六はみんなに付き合っていることを言って正式に認めてもらってから正々堂々手を出すと言った。私が中学校を卒業するということは孫六も高校を卒業するってことだから。
 別に異論はなかったけど、心配なのは過保護な麻理央お兄ちゃんのこと。孫六が殺されなきゃいいけど。






「我慢してるの?」






 問うと、ぎゅっと私の手を握った孫六が驚いた顔でこちらを見た。






「高校生が手繋ぐだけで満足できると思ってんのか?」

「お願いだからそれ麻理央お兄ちゃんの前で言わないでね」






 孫六はそうだなと笑う。その横顔にきゅんとしたから少しだけ孫六の肩に頭を乗せてやった。
 麻理央お兄ちゃんとかマーシーお兄ちゃんたちはみんなのお兄ちゃんだけど、孫六お兄ちゃんだけは私だけの孫六。

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みのり(プロフ) - 幼い、じゃなくて幼馴染です! (2022年10月6日 0時) (レス) id: c34ffc6411 (このIDを非表示/違反報告)
みのり(プロフ) - ありがとうございます〜。主が小田島の幼いなじみでそれに嫉妬するヤンデレビンゾーくんが見たいです。。 (2022年10月6日 0時) (レス) id: c34ffc6411 (このIDを非表示/違反報告)
いおり(プロフ) - みのりさん» わ〜〜〜みのりさん!!お待ちしておりました❤️‍🔥💖もちろんです、リクエストお願いします!!! (2022年10月5日 21時) (レス) id: 689bc8be02 (このIDを非表示/違反報告)
みのり(プロフ) - いおりさん…ビンゾーくん最高です。リクエストお願いしてもいいでしょうか? (2022年10月5日 21時) (レス) @page4 id: c34ffc6411 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いおり | 作成日時:2022年10月4日 10時

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