幸福の賛美歌

32 H.S ページ34

今日はみんなそわそわしてる。

何でかって言うと練習後に家族や彼女と会える時間が待ってるからだ。

俺は彼女もおらんし、家族も来れへんから普通のフリータイム。

結婚しとる人らにとっては長期間家を空けてるしありがたい時間よな。


松「坂本は1人か？」

坂「松田さん...独り身にその質問はヒドイっす...」

松「わははは！まあ、ゆっくり休んどけよ」

坂「うっす」


翔も家族が来るからって楽しみにしとるし、翔平は家族は来れへんけど翔の子供と遊ぶって言うてたし、哲人も両親が来るらしい。

あかん。俺マジで1人やん。


大「あれ？坂本さん1人ですか？」

坂「今、それに関して凹んでたんやから傷に塩を塗るようなこと言うなや」

大「あはは。俺も一緒なんで勘弁してください」

坂「大津もなん？」

大「家族も来ないし、彼女もいないんすよ」

坂「意外やな〜。モテそうなんに」

大「それは坂本さんでしょ。球界の女性人気No.1」


そんなん言われてもいないもんはいないんやからしゃーない。


ロビーを見ると続々と選手の家族が集まって来ていた。

ホテルのロビーは吹き抜けになっていて2階から下の様子がよく見える。

みんな嬉しそうやな。


大「あっ！内田くんの彼女も来たんだ」

坂「内田くんって彼女おったん？」

大「もう直ぐ結婚するらしいですよ」

坂「へ〜。サッカー界1のイケメンが結婚したら世の中の女性は落胆しそうやな」


内田くんの近くにいる女性を見ると...2人いる？


坂「大津。どっちが内田くんの彼女？」

大「茶髪の方です。黒髪の人はお姉さんですね」


彼女も綺麗な人やけどお姉さんも綺麗やな。

さすがイケメンの姉。

内田くんとこは両親も来てるみたいで大所帯や。


大「あれ？Aちゃんだ」


大津が目を向けた方を見るとAも2階から下を見ていた。

なんかその表情が...

泣きそう？

いや、嬉しそうにも見える。

一体何を見てるん？


彼女の視線を追うとその先には...

内田くん？

内田くんを見てそんな表情しとるんか？

長谷部さんが言うてたけど内田くんとAの間には何かある？

俺は引き寄せられるようにAのそばへ歩み寄っていた。

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