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五条さんから連絡が来た

居ても立っても居られなくて家に行くと、恵は玉犬に埋もれるように踞っていた

向けられた虚ろな瞳



『っ、恵……』



逆、だ



いつもは私が慰められる側で、

言葉をくれて、

頭を撫でてくれて安心させてくれた



どうしよう、私

何をすれば恵が安心してくれるか知らない






……A

なんで居んだ……五条さんか






尽くして貰ってばかりで、
する側になると言葉一つ上手く紡げない

なら、私に出来ること__



『__っ』





今オマエに構う余裕はねぇか…ら……

__いつもと立場が逆だな

オマエに頭撫でられるのは不思議な感じがする

俺に気を遣っているのか?


……下手だな


……でも






『わ…!?』


随分と乱暴に引き寄せられて、抱き締められた

力も加減が無くて、ぎゅうぎゅう痛いし苦しい


けど、我慢するよ。そのままで良いよ




「津美紀が」

『うん』

「津美紀が、呪われたッ……」

『っ……うん』




恵の唯一の家族

いつも笑顔で、誰にでも優しくて、恵にはちょっと厳しくて

その厳しさも優しさで


ナカガワと並ぶと悪い人も罪悪感で逃げ出しちゃいそうなくらい、眩しい存在だった



どうして、そんな人たちが不遇な目に遭うの?

呪われる謂れはない……筈なのに






Aは、頭を撫でる手を止めない


……こんな気持ちだったのか

中川さんが居なくなった時、
Aは衝動的に死のうとした

今なら、少しは分かる気がする


全てを差し置いて、絶望が勝つんだ

途方の無い喪失感


津美紀はまだ微かにでも可能性はある

けど中川さんは帰って来ない

それが、どれだけ辛いか







どうしてって、悲しくて
もう無理だ生きられない、とまで思ったんだよ

それでも、最後は立ち上がれた


だって、恵が頭を撫でてくれるから

恵が側に居てくれたから


たったそれだけ
それだけで、救われる話もあるんだよ


今度は私の番

これが、少しでも恵の役に立ってたら嬉しい






だから、お願い






何かを失うと、拠り所を探すって本当なんだな

Aが俺にそうしたように、

俺も今、心の内でAという存在に縋っている


それが呪術師にとって
どれだけ苦しい考え方だとしても








絶対に、この手から零したくない






たとえ









恵まで置いて行かないでね








俺がどうなろうとも




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作者名:さくや | 作成日時:2023年10月10日 17時

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