夜宮祭【呪術廻戦】 (ページ23)

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４月 -共有の話- ページ23

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「明確なのは、肉体の主導権は基本そっちにある」

それが９月＿＿“覃己”との対話の始まりだった

＿＿

「へぇ、明日からあの学舎に戻ンだな」

『うん。やっと』

「もの言いたげだな。オレの所為か？」

『……』

「まぁそうか」

夜

眠ると偶に、“覃己”の生得領域に呼ばれる

初めて“覃己”と話をしたあの日以降、私を度々招いては求めるのは他愛の無い話

“覃己”は視えない分、私に問う

問う権利はある
そして私はそれに答える義務が一応はある

＿＿

「別に取って代わろうはないぜ？
どっちかってと、オレは共存派」

冒頭の言葉の反応に詰まっていると、胡座に頬杖をつく“覃己”が笑って言った

「宵宮に居た前は器を転々としてたし、器の自我が残れば基本器主体の共存共栄を図ってきた
オレ受肉界隈じゃ優良物件だからな」

何その界隈
優良だろうと、受肉された時点でマイナスだよ

『共存共栄っていうのは…？』

「視界とか共有して、状況でオレに代わったりな
でも今回は主導権がオレに微塵もねぇから、今までの器と勝手が全く違う。初めてだよこんなの
しかも感覚で制御してる感じだろ？どうすっかな」

『視界を共有？』

「ああ、表に出れねぇから死のうとするのを止めれないのは歯痒かったし、伏黒恵に止められてベロベロに泣いてるし」

『ぇ』

「あと受肉特典で肉体の記憶読むのは一揃いだから、実質器の記憶も共有だな」

『……え゛』

さらりと告げられた事実

その事実に、当時ナカガワの事が悲しくて死にたくなったのとは別のベクトルで、酷くショックを受けた

“覃己”がもっと呪霊らしかったら、きっとそこまでだったんだろうけど

目の前の呪霊が仮に街中にいても、きっと違和感はない

街行く青年に見えると思う

ちゃんとした対話は初めてで、
たった数分のやり取りでそう思う自分がいる

それ程までに“覃己”は、呪霊としてあまりに異質で、あまりにも“人間”をしていた

つまり、人(呪霊だけど)に記憶全部見られた。しかも男

『＿＿それ、って…記憶も視界も共有しないよう制御出来る？』

尊厳を突然横殴りされた私は気付けばそう口走っていた

＿＿

“覃己”は分からないと答えたけど、後日制御出来ていたらしい

あまりに暇だから少しは話し相手になれ、とせがむので若干の罪悪感に押されて今に至る訳である

『忙しくなるから頻繁に呼ばないでね』

「ケチ」

『ちゃんと寝れないんだよ……』

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