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数日後
高専内__空き教室
「おい」
『ッ!?恵かぁ…びっくりした』
稽古の後、教室の席を借りて寝ていた所を、ガンッと椅子の脚を蹴られて跳ね起きた
時計を見るともう16時。一時間は寝ていたようだ
『ふぁ〜…最近よく高専来るね
学校もう終わったんだ』
「冬休み前だからな。な事より、帰るぞ」
『5時まで迎えないよ』
「良いから帰んぞ」
『……?分かった、荷物取ってくる』
__
私は一応監視下にあるため、高専と家の往復は基本、補助監督さんにお手を煩わせている
だから、行きは9時、帰りは17時と時間が決まってる_
『はず…なんだけど』
何故か補助監督さんの車はあるし、
「外出れる服に着替えてこい」と、家の前まで付いてくるなり言って、恵は私を家に押し込むし
『えぇ……』
私 外出禁止なんだよ。どゆことだ、ほんとに
今日なんかの日だっけ?約束してたっけ__
『あ』
カレンダーを見る。12月22日
恵の誕生日かぁ……
……え?
『じゃないよ!?恵の誕生日!?
え、もう今日!?プレゼント用意出来てない
する余裕も無かったけど……』
外に十分に出れない身で、例年通り買いに行くのは難しい
でも、毎年あげてるんだよ
……悔やんでも仕方ない。無いものは無いのだから
謝るしかない。次の誕生日までには絶対何かあげよう
『それにしても、外に出れる服って……』
五条さんの許可取ってるのかな
……いや、取れる?本人を前にあれだけ渋った人だよ、恵がそう簡単に取れる訳__
『なんか恵…ちょっとピリピリしてなかった……?』
急かすような言動、何かに焦ってるのかと思ったけど、もしかして怒ってる?
私そもそも今日、ちゃんと恵のこと祝ったっけ
『やばい……やばい、かも』
__
「……何してんだ」
『わ……私が悪かったよ、プレゼント用意出来てないどころか、祝わないなんて…ごめん!!
怒るのも分かる、でもっ考え直して、怖い人に売り捌かないでー!!』
「は?」
玄関が開いたと思ったら、Aは扉の向こうから顔だけ出して、青褪めて震えている
『五条さんから許可が出る訳ないし、恵は決まりを破ったりしない
なら連れてかれるのは怖い所に決まってる…!!』
「何で決まり守る奴がヤバい所に連れてくんだよ」
誕プレ用意できないってのは分かり切ってる話だ
それに無理に用意して欲しいとも、俺は思っちゃいない
「ふっ
……ったく、本当、いくつになってもだなAは」
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作者名:さくや | 作成日時:2023年10月10日 17時