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「術師は呪力が身体の中でよく回る
オマエは代わりに漏出した呪力が一旦身体の外を回って、一定の呪力から身を守ってんだろ。ほら」
『ッ……?』
バシッと、良い音を立てて背中を叩かれたA
何が、ほら、なのかは全く分からなかった
代わりに五条があぁ、なるほど、と頷く
「宵宮の呪力に触れる瞬間、金次の呪力が消え……いや、中和かな?金次の見立ては正しいね
一定量の呪力と、伴う呪力特性の無効化ないし軽減
実際宵宮は今の攻撃を、ただ叩かれたって思ってる」
「悟ちゃん稽古してるのに、何で知らなかったの?」
「宵宮相手に呪力なんかほぼ使わないよ
だって、ちょいっていなしたら直ーぐ転がるんだもん
呪力操作で化けるとは僕も思ってる
でもさー宵宮はAと真逆で、呪力操作がクソ雑魚なんだよね」
『……ジュリョクソウサニガテ』
嫌いな野菜を前にした子供がする様に、渋面でそっぽを向くも、五条にがっしり顎を掴まれて戻された
「苦手でも出来ないと自由はあげられないからね
明日からはそっちに力入れて稽古しようか。気合い入っちゃうな〜」
『ひ……』
口元には暗黒微笑
包帯で表情全体が見えずとも分かってしまう
この人は今心底愉しんでる。人をイジめる事考えて喜んでる
偶にサイテーだよ、五条さん
「中川さんへの礼って訳じゃねぇけど、俺らも居る時は色々世話焼いてやる
だからまぁ……なんだ、程々に頑張れよ」
『……!!
秤さん……!』
本日2回目の同情された空気を受け取る。けど、今度は違う気持ちになる
会った時はあれ程恐ろしかった秤さんが、今となっては近所のちょっと強面の優しいお兄さん位に感じられる
それが拳を交えたお陰か、それとも五条さんの人の扱いに対する共感のお陰か定かではないが、少なくとも絆は生まれたようだった
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「そう言えば、結局勝ったんだっけ。何処行く?」
『皆で決めます!』
「宵宮が勝ち取った権利なのに?」
『折角二人に会えるのを確約して貰ったんですよ!?
五条さんはともかく…恵は偶に、津美紀ちゃんは全然だし……
これなら話す時間増えるし、倍楽しみになって、倍美味しくなるじゃないですか!』
「あー、これは中川さんの妹だわ」
「ね、そっくり」
*
結局、三人では意見が纏まらず、五条の鶴の一声で五条激推しのパンケーキを食べに行った
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作者名:さくや | 作成日時:2023年10月10日 17時