【ギブハピ】醜いアヒルの子 (ページ2)

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『...ごふっ』

突然腹に凄まじい衝撃。

目を向けると、うちのリーダーであるむあがうなされて僕の腹を蹴ったようだった。

若干湧き上がる殺意を慣れで抑え込み、また僕は彼奴の身体を揺らす。

最近うなされることが増え、またそれでギブハピメンバー(女子)を起こすことが増えたリーダー。

生物学上は女性ということで女性部屋に無理やり寝かせているが、シェアハウスも慣れてきたしそろそろ男子部屋に入れてやってもいいかもしれない。

いやはや、うちのグループは性別不詳が多すぎて困る。

半分冗談のような悩みだが、しかし思うところはあった。

性別不詳な者たちを彼と呼ぶべきか彼女と呼ぶべきか。

ただそれだけのことと一蹴することは、僕には出来なかった。

こんな所もまだ人間なのだろう。真面目に僕は性格が良すぎると思う。いやマジで。

｢ん...なぁにぽるちゃん...｣

『またうなされてましたよ』

そう一言告げる。

それだけで察したらしく、彼(彼女)は重そうに腰を上げた。

｢んー、完全に起きちゃった。せっかくだから歌おうか｣

『まだ夜中っすよ、また碧羽さんに怒られても知りませんからね』

｢う...まあ仕方ないや。巻き込んじゃってごめんね｣

『いやいいんすよ。ちょうど昨日のツイッターぽいやつ更新忘れてたし。まだ間に合うっしょ』

｢...ありがとう｣

そう呟き、リーダーは食卓のイスに腰を降ろす。

｢そうだ。せっかくだからね｣

『...また歌うんだったらぶん殴りますよ』

｢なんっ...！いや、今日の夢、たまたま覚えてたからさ。忘れる前に話そうと思ってね？｣

あーね。

『マ？聞きたいです』

適当に取ってきた炭酸飲料のボトルをシュコッと空け、僕は答えた。半ば社交辞令の様なものだったが、しかし気になるのもまた真実。久しぶりにリーダーの言葉にちゃんと耳を傾けた。

｢...んー、あれ？忘れちゃった痛い！｣

ああ、いつものリーダーだ。

脇腹に拳を喰らわせ、僕はその場を後にした。