天才ダンサーの君 Part2

episode 53 ページ5

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NAOTO side






｢お腹いっぱいだ〜｣


NAOTO｢焼きすぎなんだって、毎回｣


｢焼くの好きだからさ〜｣








お腹いっぱいにたこ焼きを食べ、ふたりで並んでベランダに置いてあるハンモックみたいな椅子に座ってお酒をのむ

俺より若いのに俺よりいい家住んでるからベランダの広さにも毎回驚いてしまう。この金持ちめ








｢.......踊れなくなったら、たこ焼き屋さんやろっかな｣


NAOTO｢え？｣


｢だーかーらー！私がいつか体がダメになって踊れなくなったらたこ焼き屋さんでも始めようかな〜って｣









空に光る数少ない星を眺めながら言い放ったその一言は、他の人が聞いたらなんて事ない言葉かもしれないけど昔から彼女を知っている自分からしたらかなりの衝撃の一言だった


小さい頃からダンスにしか興味をもたずダンスしかしてこなかったあんなにダンス愛があって弱音をはいたことがなかった彼女が、今俺の横でダンスがない未来の話をするなんて









｢.......なに、アホくさいとでも思ってんの？｣


NAOTO｢いや、ただちょっとびっくりして......｣


｢驚きすぎでしょ笑｣








ちょっとなんて嘘
内心めちゃめちゃ焦ってるし今すぐ理由を聞きたい


確かに俺より若いとはいえ、そもそもAは女性だ
俺たち男とは筋肉のつきかたや体力等、そもそもの基本が違う

経験や性別を超えた実力やポテンシャルがあるのも知っているがさすがにこの差は大きい









NAOTO｢.......たこ焼き屋さんになっても、今日みたいに俺の為にたこ焼きパーティー開いてくれよ｣


｢あは、当たり前じゃん笑｣









今の俺にはこんな言葉しかAに返せなくて



今回のスランプは、Aにとってかなり精神面でも辛いのだろう

長年一緒にいた唯一の友達として、こんな事も分かってあげられない自分が情けなくて、俺は残りのレモンサワーをぐいっと飲み干した









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