雨に濡れて、貴方を探して ページ38
憂鬱な雨が降り注いでいた。
だが、Aはそんなものもお構いなしに家を出る準備をしている。
ここ3日間、ずっと雨が降り続けていて、会いたい人を探しに行けなかった。
まあ、最初は雨が止んだら…と考えていたが、こんなに待つとは思ってもみなかった。
もう待ちきれなくなって、早く会いたくて、この雨の中、探しに行くと決心したのだ。
「……お父さんとお母さんは…寝てるかな。最悪、置き手紙だけでも」
簡単な置き手紙を机の上に置き、リュックを背負う。午前中いっぱい二人が寝ているなんてこんな機会、滅多に無い。
廊下には、父が家を出る際に持っていく荷物が沢山ある。これにぶつからないようにしていけば、ばれる事なくこの家から出られるだろう。
そっと、そっと階段を下りて、廊下を渡る。
傘を持ち、玄関のドアノブに手をかけて、一度だけ振り返った。
「____行ってきます。…喧嘩、あまりしないでね」
寿司屋に、ショッピングモール、ゲームセンター。
色んな場所を、時間をかけゆっくり回った。
もしかしたらそこに居るかもしれない、という予測は全て外れた。
少ない貯金も持ってきてよかった。コンビニのおにぎりを頬張りながらそう思う。
腕時計を見てみると、長針は2を指している。
「うわ…何時間歩いたんだろ。お母さん達もそろそろ、私が居なくて騒いでるかなぁ」
それでも、帰る気は無かった。
あの人を見つけるまで、帰らないつもりでいる。というより、あの人が良ければまた…なんて事まで考えていた。
「…あとは、お散歩コースか」
未だ降り続ける雨が少々鬱陶しく思えてきた。傘からは、滴るなんてレベルではない程の水滴が溢れて落ちていく。
いつもあの人と二人で歩いた道は、Aがいた場所からは中々辿り着けず、30分程の時間を有した。
じっくりと巡ってみるが、やはりそれらしき人は見つけられない。
「やっぱり、1日で見つけ出すなんて無理だったのかな」
流石に心が挫けそうになった午後4時。
ため息をつき、腕時計をじっと見つめる。
「……そういえば、初めて会ったのって、5時過ぎだよね。あの小さな公園で……あっ！」
１つだけ、望みがあった。
初めて会った場所。ブランコがある小さな公園だ。
「お願い、見つかって…！」
Aは最後の希望をかけ、公園に向かって走っていった。
雨の中、傘も差さずにブランコに腰を降ろす男が一人。
「……やっと、見つけた」
男はゆっくりと振り返る。
「_______椿、さん」
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葵 - 続きを読むのが楽しみです！更新頑張って下さい！ (2017年7月4日 22時) (
レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 葵さん» 初めまして、ありがとうございます^^ やっぱりコメント貰うと嬉しくなって効率が上がりますね(単純)私が日々妄想してきたラストまであともう少し！それまで私の妄想に付き合って頂けたら嬉しいです！ (2017年7月4日 0時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして！夢主ちゃんと椿さんがどうなってしまうのか、気になります！更新頑張って下さい！ (2017年7月3日 23時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 狐灯さん» ありがとうございます。血は結構な量でしたよ、その時着てた服は下着まで血みどろでした^^まあ、「お、なんかいっぱい血出てる」としか認識してませんでしたけど…笑 夢主ちゃんがこれからどうなるのかは…なにも言えませんね笑詳しくはwebで！(なにも載ってないです) (2017年7月3日 1時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
狐灯 - 死ぬほど…！？む､無理しないで下さいね…？お話､凄く好きです！これからどうなってしまうのか…気になります…！女の子が､何を選択するのか…また､椿さん達と笑える日々が来れば良いなぁ…って､思ってしまいますね…(苦笑) (2017年7月2日 22時) (レス) id: 9ad341cd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐糖さん。 | 作成日時：2017年1月15日 16時
