吸血鬼? ページ29
「露木さん……吸血鬼って、なんですか…?」
その言葉を口にするだけで、ズキリと頭に衝撃が走った。
“___さんの正体は、吸血鬼なんです”
先程Aの頭に流れてきた映像では、露木は明らかにそう言っていた。何やら露木の隣にいた男性も、それを肯定することを言っていた気がする。
「吸血鬼って…なにかのおとぎ話でもしてたんですか?そんな、非現実的なこと…」
露木は眼鏡をかけ直し、汗を一筋流す。
露木「Aさん…世の中には知らない方がいいものもあるんです。これ以上は……」
「だって、おかしいじゃないですか…吸血鬼ってなんです?そのまんまの言葉の意味ですか?」
露木「……Aさん」
「そういえば、誰かの正体が吸血鬼だって言ってましたけど、誰のことですか?そこだけ靄がかかって思い出せない……」
露木「Aさん」
「もしかして、私が大好きだった人のこと……」
露木「Aさん!」
露木のその大声に、Aは驚き口をつぐむしかなかった。カウンセラーも、目を見開き呆気にとられている。
露木「…それ以上思い出してしまったら、貴女はまた傷ついてしまう」
「…露木さん、私は……」
カラン、カランと下駄を鳴らし、白い羽織をなびかせながら歩いていく。
もう落ち込んでいる訳ではない。それと同時に、まだ吹っ切れた訳でもない。
椿「……懐かしいなぁ」
小さな、あまり目立たない公園。幸せそうな親子が仲良く遊んでいた。
錆び付いたブランコは、Aのことを思い出させる。
椿「あはは、僕ったら、事ある毎にAちゃんを思い出したりして。未練たらたらだなぁ」
サングラスの奥で細めた目は、どこか遠いところを見ていた。
「椿、どうしたんだい?」
椿「え?…あぁなんだヒガンか。大丈夫、何でもないよ」
ヒガン「なんだって酷いなぁ……まぁ、はやく帰ろう」
椿「…うん」
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葵 - 続きを読むのが楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年7月4日 22時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 葵さん» 初めまして、ありがとうございます^^ やっぱりコメント貰うと嬉しくなって効率が上がりますね(単純)私が日々妄想してきたラストまであともう少し!それまで私の妄想に付き合って頂けたら嬉しいです! (2017年7月4日 0時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!夢主ちゃんと椿さんがどうなってしまうのか、気になります!更新頑張って下さい! (2017年7月3日 23時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 狐灯さん» ありがとうございます。血は結構な量でしたよ、その時着てた服は下着まで血みどろでした^^まあ、「お、なんかいっぱい血出てる」としか認識してませんでしたけど…笑 夢主ちゃんがこれからどうなるのかは…なにも言えませんね笑詳しくはwebで!(なにも載ってないです) (2017年7月3日 1時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
狐灯 - 死ぬほど…!?む、無理しないで下さいね…?お話、凄く好きです!これからどうなってしまうのか…気になります…!女の子が、何を選択するのか…また、椿さん達と笑える日々が来れば良いなぁ…って、思ってしまいますね…(苦笑) (2017年7月2日 22時) (レス) id: 9ad341cd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐糖さん。 | 作成日時:2017年1月15日 16時