記憶 ページ28
Aが発見されてから一月半。
早くもAは、失った記憶を取り戻そうと動いている。
今は、カウンセラーに連れられて、とある地下施設の真っ白な部屋に居た。その部屋はとにかく白く、自分が座っている椅子や、テーブル以外に何もないので、酷く殺風景に見える。
カウンセラーは先程、「少し待っていろ」と言って出て行ってしまった。
「うーん……ここに来て何かわかるのかなぁ…」
しばらく経っても誰も来ないので、暇に感じて軽く伸びをしたり、足をブラブラさせていた。
と、近くで誰かが声を荒げるのが聞こえた。
「_____どうして彼女を連れてきたんですかっ?!…本人の意向?だからって……!」
その声が止む前に、静かにドアが開いた。カウンセラーはやや面倒くさそうな顔色を浮かべながら入ってくる。
「待たせてすまんな。少し面倒な奴に捕まった」
そして、カウンセラーの後を追うように部屋に入ってきたのは、眼鏡をかけた若い男性。焦っているのか、うっすらと汗をかいていた。
男性はAを見つけると、盛大なため息をついた。そして、どこかよそよそしい雰囲気で挨拶をする。
「……竜崎Aさん、ですよね。…初めまして、露木です」
「…ど、どうも……?」
この男性…露木と会うのは、初めてでは無いような気がした。顔も、声も、どこか懐かしく感じる。
もしかして、どこかで会ったことが…
その時、
強い衝撃が脳に響き渡った。ぐにゃりと世界が曲がる。
「うっ……!…うぁあっ……」
露木「ちょ、Aさん?!俺を見て…?くそっ、耶節先生っ!」
「ああ、わかってる。おい、聞こえるか?」
二人の声が頭にガンガンと反響していく。息が荒くなっていき、心臓は存在を主張するかのように脈打った。
「過呼吸に…脈も速いな…大丈夫だ、すぐよくなるからな。まずゆっくり息をしようか」
なんとか聞き取ることのできたその言葉に、Aは必死に従った。
出来るだけゆっくり、ゆっくりと息をする。
「…そう、上手だ。もうちょっと続けようか」
顔をあげた。と、同時に、頭に激しい痛みが襲いかかる。
眼前には、カウンセラーと露木が居た。
「つゆ、き……?」
身体中に、強い衝撃が走った。
「なに、これ…?露木さん……?」
頭の中に次々と映像が流れ込んでくる。その映像にはなぜか露木の姿もあった。
露木「もしかして、記憶が…?」
そして、映像の中の露木は口を開く。
「吸血鬼、って……?」
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葵 - 続きを読むのが楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年7月4日 22時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 葵さん» 初めまして、ありがとうございます^^ やっぱりコメント貰うと嬉しくなって効率が上がりますね(単純)私が日々妄想してきたラストまであともう少し!それまで私の妄想に付き合って頂けたら嬉しいです! (2017年7月4日 0時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!夢主ちゃんと椿さんがどうなってしまうのか、気になります!更新頑張って下さい! (2017年7月3日 23時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 狐灯さん» ありがとうございます。血は結構な量でしたよ、その時着てた服は下着まで血みどろでした^^まあ、「お、なんかいっぱい血出てる」としか認識してませんでしたけど…笑 夢主ちゃんがこれからどうなるのかは…なにも言えませんね笑詳しくはwebで!(なにも載ってないです) (2017年7月3日 1時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
狐灯 - 死ぬほど…!?む、無理しないで下さいね…?お話、凄く好きです!これからどうなってしまうのか…気になります…!女の子が、何を選択するのか…また、椿さん達と笑える日々が来れば良いなぁ…って、思ってしまいますね…(苦笑) (2017年7月2日 22時) (レス) id: 9ad341cd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐糖さん。 | 作成日時:2017年1月15日 16時