狐の憂鬱と、不幸人たち ページ24
『次のニュースです。先日、意識不明の状態で保護された竜崎Aちゃんが、今日無事に退院したとのことで_____』
つまらない。この世界はうんざりするほどつまらない。
『病院の関係者によると、行方不明だった6ヶ月の間の記憶が一切残っていないようです。___』
楽しくない。面白くない。……ただ、
『何故、半年間行方不明だったAちゃんが、無事生還できたのでしょうか?____』
____ただ、とても寂しいんだ。
ベル「つばきゅん、アイツが居なくなってからずっと元気ないじゃ〜ん…おい桜哉、つばきゅんの機嫌取りしてこいよォ」
桜哉「はぁ?なんで俺なんだよ。めんどくさい人が更にめんどくさくなってんだから近づきたくもねぇよ。てか元気ないのはアンタもだろ」
椿「桜哉ー、ばっちり聞こえてるよー」
大事な家族が居なくなってから、椿たちの間に重い空気が流れている。
その空気は、改めてAという人間が、自分らにとってどれだけ大きな存在だったのかを思い知らせていた。
オト「帰りました……椿さん?どこに行くんですか、報告は……」
椿「……ちょっと散歩してくるよ。報告は後で聞くね」
オト「気まぐれな人…困ります」
ちょっと前までは散歩がとても楽しかったのに、今ではそんな気持ちは微塵もない。
それに、自分の好物をいくら食べても美味しいと感じなくなった。
その他にも、たくさん。
憂鬱な世界が、更に憂鬱に感じる。
多分それは、
椿「_____Aちゃんが居なくなったから」
大抵の者は、幸せが壊れた時に、その幸せの大切さに気づく。
露木「また来たんですか、御国先輩」
眼鏡をかけ直し、あからさまに嫌な顔をする。
御国「そんな怖い顔しないでよー…それにしてもさ、今凄い騒がれてるよね、Aちゃん」
露木「長い間失踪してた人間が無事に帰ってくるなんて珍しいですから。まぁ、その原因は俺らなんですけどね」
露木は話しながら大量の書類を整理していく。その姿を御国はまじまじと見つめ、続けた。
御国「…やっぱり椿たちはAちゃんの記憶を消したみたいだね」
露木「その件に関しては、特別に救護室の耶節先生にカウンセラーとして彼女の話を聞いてきてもらいました」
御国「ふーん。で、なんて?」
書類を整理していた露木の手が、ピタッと止まる。
露木「……何故か、日を追うごとに記憶が戻っていってる様で___」
それは彼女にとって、幸いか、それとも___。
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葵 - 続きを読むのが楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年7月4日 22時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 葵さん» 初めまして、ありがとうございます^^ やっぱりコメント貰うと嬉しくなって効率が上がりますね(単純)私が日々妄想してきたラストまであともう少し!それまで私の妄想に付き合って頂けたら嬉しいです! (2017年7月4日 0時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!夢主ちゃんと椿さんがどうなってしまうのか、気になります!更新頑張って下さい! (2017年7月3日 23時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 狐灯さん» ありがとうございます。血は結構な量でしたよ、その時着てた服は下着まで血みどろでした^^まあ、「お、なんかいっぱい血出てる」としか認識してませんでしたけど…笑 夢主ちゃんがこれからどうなるのかは…なにも言えませんね笑詳しくはwebで!(なにも載ってないです) (2017年7月3日 1時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
狐灯 - 死ぬほど…!?む、無理しないで下さいね…?お話、凄く好きです!これからどうなってしまうのか…気になります…!女の子が、何を選択するのか…また、椿さん達と笑える日々が来れば良いなぁ…って、思ってしまいますね…(苦笑) (2017年7月2日 22時) (レス) id: 9ad341cd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐糖さん。 | 作成日時:2017年1月15日 16時