待っててね ページ11
椿「自分でも、なんで人間相手にこうなるのかわかんないけど…でもやっぱり、吸血鬼についてそろそろ話さないと___え、Aちゃん?」
椿の視線の先には、もう眠っているはずのAの姿が。これには桜哉も驚き、開いた口が閉まらないでいる。
「あの、」
Aがおもむろに口を開く。二人の肩はほぼ同時に揺れ、次の瞬間耳にするだろうAの言葉を一生懸命推測しながら一粒の汗を流した。
「______ごめんなさい、お腹空いちゃって。なにかお菓子とか無いですか?」
椿「…………うわぁあぁ…っ」
予想の斜め上すぎる言葉に、椿はソファーの上になだれ込んだ。桜哉は心臓を抑え、なにやらブツブツと唱えている。そんな二人を見て、Aはたじろぐしかなかった。
「あの、ええと、椿さん?なにか…」
椿「ううん、違うんだ。こっちの事情だから。ごめんね、うん。」
桜哉「A、腹が減ったって?うーん、流石にこの時間にお菓子はマズイな…あ、確かゼリーがあるはずだから待ってろ」
「すいません、ありがとうございます」
桜哉は足早に部屋から出ていき、椿とAが残された。Aは椿の近くにちょこんと座り、しばしの沈黙が流れる。
ふと、椿が口を開いた。
椿「……Aちゃん、さっき僕たちの話聞いてた?」
「え?…いいえ、ぼんやりとは聞こえてきましたけど、よくわかんなかったです」
椿は口元を隠し、視線を落とす。
椿「そっか。………ねぇ、」
椿がAに問いかけると、Aは顔を上げ、椿の目をまっすぐと見た。純粋で、椿のことをなにも疑っていないその目に捉えられ、頭が一瞬真っ白になる。
椿「___僕たちね、Aちゃんに話さなくちゃいけないことがあるんだ。だけど、まだ僕たちには心の準備が必要でね、だからまだAちゃんには話せない。でも、それでもAちゃんは待っていてくれる?」
椿の真剣な眼差しと、何かに期待しているような顔、それでいて何かに怯えているような声。
Aは目を見開き、そのまま椿としばらく見つめ合う。
「__はい、待ちますよ。椿さんたちが私にちゃんと話してくれるまで、ずっと」
そう言ってニッコリと微笑むAに、椿はただ静かに「ありがとう」と返した。
桜哉「ほら、ぷるりんと蒟蒻ゼリー」
「ありがとうございます!」
椿「こんな時間にお腹空くなんて、成長期?」
桜哉「下手したら横に成長すっから気を付けろよ」
「桜哉さん、もっと冗談っぽい冗談言ってくださいよ……」
久しぶりのお散歩で、夢主は機嫌がいいようです。→←椿の悩み事
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葵 - 続きを読むのが楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年7月4日 22時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 葵さん» 初めまして、ありがとうございます^^ やっぱりコメント貰うと嬉しくなって効率が上がりますね(単純)私が日々妄想してきたラストまであともう少し!それまで私の妄想に付き合って頂けたら嬉しいです! (2017年7月4日 0時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!夢主ちゃんと椿さんがどうなってしまうのか、気になります!更新頑張って下さい! (2017年7月3日 23時) (レス) id: c2fac8b8e1 (このIDを非表示/違反報告)
佐糖さん。(プロフ) - 狐灯さん» ありがとうございます。血は結構な量でしたよ、その時着てた服は下着まで血みどろでした^^まあ、「お、なんかいっぱい血出てる」としか認識してませんでしたけど…笑 夢主ちゃんがこれからどうなるのかは…なにも言えませんね笑詳しくはwebで!(なにも載ってないです) (2017年7月3日 1時) (レス) id: bb39dbcc66 (このIDを非表示/違反報告)
狐灯 - 死ぬほど…!?む、無理しないで下さいね…?お話、凄く好きです!これからどうなってしまうのか…気になります…!女の子が、何を選択するのか…また、椿さん達と笑える日々が来れば良いなぁ…って、思ってしまいますね…(苦笑) (2017年7月2日 22時) (レス) id: 9ad341cd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐糖さん。 | 作成日時:2017年1月15日 16時