愛してるよ、貴方だけ (ページ19)

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＊少し昔の話をしようか４ページ19

ビ「ま、赤髪ほどの男に手ほどきしてもらえるならAにとってはこの上ないチャンスだろう。」
マ「……」

マルコは、甲板の中心で剣を交える二人を眺めた。

Aは楽しんでいるようだ。シャンクスも「師匠」の名に相応しく、程よく手加減している。
何度転がしても起き上がり、向かってくる弟子を面白がっているようにも見えるが。

しばらくやり合っていたが、Aが疲れきって起き上がれなくなった所で稽古は終わる。

シャ「A、強くなったな！誰に習ってんだ？使ってるのも良い刀だ。」

「…隊長達に…」

ゼェ、ゼエと苦しそうに答える。

シャ「へぇ！将来が楽しみだな！踊りはもうやってねえのか？」
「…たまに、宴で踊ってますよ。楽しいです。」

にこっと笑ってみせるAに、シャンクスも嬉しそうだ。

(あ、言わなきゃ良かっー)

シャ「ちっと見せてくれよ。」
(そうくると思った！！)

いつものように踊ったつもりだ。
初恋の人に見せられるとは思わなかったので、否応にも胸は高鳴る。マルコに伝わらないようにただ祈った。

シャ「……」

ほー、と心から感心したようだ。

シャ「な、A。おれのー」
私は両の手で、座っている師匠の口を抑える。

シャ「ぬわにするん…」

「勧誘ならお断りします！」

私はそうっと手を緩める。

シャ「…？なんで？」

「わ、私ここが好きで……最初は戸惑うことも多くて、みんなに迷惑かけたけど……」
言葉に詰まったAに、シャンクスは

「そうか！」
とだけ言う。

シャ「じゃあマルコ、お前おれの船にー」

マ「乗らねェよい！」

テンポ良いやりとりに、私は目をパチクリする。
なんだか笑いがこみ上げてくる。

シャ「…じゃぁ、そろそろお暇するか。邪魔したな、白ひげ！！！」

白「グラララ……じゃあな、ハナタレ小僧。」

マ「できればもう来ないで欲しいもんだ。」

隣でボソッと呟き、私の腰に手を回す。
「…妬いた？」
こっそり聞いてみる。
マルコが返答する前に、少し離れたところから師匠が声をかけてくる。
シャ「ん？お前ら……へぇ…
なら、2人まとめてうちの船に…」

マ「乗らねェよい！！」
「乗りません！！」

揃った声に師匠は愉快そうに笑い、また会おうと私に言い去って行く。

マ「さっきの質問だが…」

マルコの手が腰から
するり、と私のヘソの下辺りまで伸びる。

マ「続きはおれの部屋で聞けよい。」
今日も寝かせてくれないらしい。

終