愛してるよ、貴方だけ (ページ17)

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＊少し昔話をしようか２ページ17

海賊の気まぐれか。今思うとそれしか、彼が私に剣を教える理由はない。

だがシャンクスは、島に滞在している間毎日、私に剣技の稽古をつけてくれた。
ーーー

「ありがとうございました！師匠！！」

シャ「おぅ、続きはまた明日な！大分上達したんじゃないか？」

そう、Aの剣技はみるみるうちに上手くなっている。日中は踊りの稽古もあるので、せいぜい数時間しか習えていないが。

そして上手くなるほど、この男の凄さを感じていた。

「後どのくらい島に滞在しますか？」

シャ「そうだな、あと10日ってとこかな？」

「………」

そんなに早いのか…分かってはいたが。
Aは、自分がシャンクスの考え方や物の捉え方、そして何より強さに惹かれていることを認めざるを得なかった。勿論シャンクスはそんな事を知らないだろうが。
言ったところで私は子供だ。

「し、師匠！」

シャ「うん？」

「わ、私を船に乗せてくれませんか？」

シャ「……」

そう言われるのが分かっていたかのように
ふむ、と顎に手を当て師匠は考える仕草をする。

シャ「だがお前、あの姉はどうするんだ？ねえさん、だっけか。団での生活もあるだろう。」

「………姐さんには本当によくしてもらってる。でも…私達は自分の道は自分で切り開くものだ、っていうのがモットーになんです。私にとって、それは今だと思う。
だから、私を海に連れて行ってください！」

私は真剣なのに、師匠の口角は緩んでいる。

「し、師匠！私は本気でー」

シャ「あ、いや……すまん、同じようなことを言うガキが前にもいてな…」

「……」

シャ「おれがお前に稽古をつけてるのは、海賊の気まぐれだと思ってくれ。いつか、お前がもう少し大人になった時に、その力で道を開けば良い。」

「？」

そう言って私の頭を撫でる手は大きく、優しく感ぜられた。

ーーーーー

恋とも言って良いか分からない淡い思いも

シャ「じゃあな、いい女剣士になれよ！」

の一言で、あっさり終わってしまった。

元々本気で連れて行ってもらえるとは思っていなかった。

(師匠は私に本気で剣を教えてくれた。それでいいや。)

遠ざかる船を私は見えなくなるまで見つめた。
見えなくなる時、胸が直接掴まれたかのように苦しくなった。そうして、海を見て
少しだけ泣いた。

姐「Aー！何やってんだ、稽古の時間だよ！」
「はーい！」

私は涙を拭って振り返る。太陽が真上に昇ろうとしていた。