＊ある日の宴２ ページ13
「何よ！イゾウはそんなことしないよ！」
マ「あのなぁ……」
これだけ男が多い船だ、油断はするなとあれほど言ったのに。
イ「そうだぜ、おれはどこぞのパイナップルとは違って、手が早くないからな」
はあ、とため息をつくマルコ。
マ「イゾウ、側にいたなら止めてくれても良いんじゃねえのか。大事な妹の体が壊れても良いのかい。」
イ「お目付役はテメェだろ。………まぁ、アイツがここまで酔うのは珍しいがな…」
また仲間のどんちゃん騒ぎに参加しているAを、マルコは引きずって来る。
マ「なんでそんなに飲んでんだよい？」
「これが飲まずにやってられっかー！」
マ・イ「「？？」」
マルコとイゾウは、互いに目線だけ合わせる。
今日は特段変わったこともなく、いつもの通常の宴だ。
普段より飲んでいるAを、周りが面白がっているのは確かだが。
「私の姐さんのね、命日なんだぁ…」
ぽつり、と声が漏れる。
マ「姐さん…ってのは、昔の…」
うん、とうなづくA。
イゾウは黙ったままAを眺めていた。
「姐さんは、ワノ国出身でね、命からがら逃げてきたところを団長に救われたの。私のこと、本当の妹のようにしてくれて…」
マ「……そうか。」
「でもある日、不審な死に方をして……いや、うちの団じゃよくあることだったの。色んな男と関係持って、恨まれるようなことしてる人も多かったし…」
またぽつり、ぽつりと言葉を繋げる。
「でも、姐さんそういうの、私に全然相談してくれなかった。
確かに年は離れてたけど…………」
イ「お前のその姐さんってのは、お前を危険に巻き込みたくなかったんだろうよ。」
「……ん、分かってる。」
マ(そうだったのかい…)
「そういや、イゾウは姐さんにちょっと似てるな…雰囲気とか、話し方とか。」
イ「あぁ…おれァ、ワノ国出身だからな。」
「そっか…………」
マ「……今晩はコイツ頼むよい。」
イ「あ？いいのかよ」
イゾウは楽しそうに、ペロリと舌舐めずりした。
マ「好きにして良いわけねぇだろうが！！話の相手してやれって頼んだんだよぃ！！！！」
一方のAは、まだ飲み足らず他のところから酒を拝借しに行ったようだ。
イ「はぁ〜ん。お前、頼んでる態度かそれ。」
マ「……今度、隠してる酒開けてやるから…」
イ「…しょうがねぇなぁ…」
マルコはその場を静かに去っていく。
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作者名：米留 | 作成日時：2020年4月26日 16時
