*ある日の宴 ページ12
「イゾウって…綺麗な顔してるね…」
心から感心したように、ほぅ…と息をつくA。
イ「あ?」
何を言いだすんだ、と思ったがAの周りに散らかった空の酒ビンを見て合点がいった。
イ(……飲みすぎたのか)
今は夜も更けて、また盛大な宴が催されていた。特段変わったこともないのだが、まぁそれは海賊スタイル、ということか。
頰全体を薄い桃色で染め、アルコールのせいか呼吸が苦しそうだ。火照った体を惜しげも無く晒し、目を潤ませるA。
イ(ふぅん、悪くねぇな。アイツもいねえし……ちっとからかってみるか。)
くいっ、と自分も盃に残った酒を煽る。
アイツ、とは勿論パイナップル頭の一番隊隊長、マルコのことである。
イ「おれの顔が気になるなら、もっと近くで見てみるか?」
直ぐそばまで寄っていたAの顎を掴み、自分に向けさせた。片方の口角を釣り上げたイゾウの表情にどきりとする。
「ぇ………?」
その端正な顔に吸い寄せられるように、Aの唇がイゾウと触れ合いそうになった。
周りの隊員も気づいてはいるが、隊長格に口出せるのは同じ隊長の古株か、オヤジくらいのもので。
皆、気づかぬふりをしていたが、内心
マルコと一触即発の戦闘にならないか、ヒヤヒヤする者
ただただ羨ましがる者
などなど様々だが、皆ただ傍観していた。
と、そこへ
ーーー
ーーー
マ「…飲み過ぎだよい、A」
「あ、マルコだー!えへへへへ」
ぱっと振り向き笑顔を向ける。
イゾウは内心舌打ちした。
マ「何がそんなに面白いんだよい…」
小さく溜息をついて、Aの隣にしやがむ。ついでに肩を抱いて自分のほうへ寄せた。
マ「イゾウ、てめぇ…」
軽く殺気立ったマルコを、イゾウは軽くいなす。
イ「なんだよ。Aを放っといたのはマルコだろ。」
「マルコ、改めて見ると…」
マ「あ?」
「変な頭ー!!!」
ケラケラ笑われて、少々不愉快に感じる。
マ「お前なぁ……そいつに惚れてるのはどこのどいつだぃ?」
「え、」
瞬く間に唇を奪われる。
「マルコぉ!人がいるとこではしないって、やくそく…………んっ………」
マ「他の野郎に隙見せんじゃねえって約束、先に破ったのはおめえだよい!」
案外あっさり離してくれた。
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作者名:米留 | 作成日時:2020年4月26日 16時