懸想（雅貴side） ページ31
腕の中で普段通りの呼吸をしながら眠っているAに
頼りない月明かりが差し込む部屋で微笑んだ。
ほんの少しだけ距離を空けてAの顔を覗き込むと、
まだ幼さの残るあどけない表情と
目の下に残った涙の痕が見えた。
可愛らしい寝顔と、年相応の体躯。
抱きしめた時に感じたそれらを思い出し、
「これってまずいよな…」と息を零した。
まあ、今の状態のAに何かをするつもりも、してもらうつもりもない。
ギリギリセーフだろ、と無理矢理思うようにして
その場をやり過ごした。
貴「…ん…」
息を漏らしたAにハッとするけれど、
ただの寝言のようだった。
髪を撫でてやると、少し表情を軽くしてまた寝息を立て始めた。
＿＿こんなに健気な少女を、何が追い立てているのだろうか。
”兄”という存在が大きなキーワードなのだろうが、
それ以外は殆ど分かっていない。
現状、今の俺がAに出来ることは
話を聞いて、一緒に居てやることぐらいだった。
雅「(それで充分だって、Aは言うんだろうけどな)」
驚く程無欲なのだ。
一つ一つの物事に対しての姿勢が賢明で聡明であるのに、
それに見合った対価を求めようとしない。
そんなAの我儘を聞いてやりたいと、
今日は家に泊まらせたが…。
結局の所、惚れた方が負けなのだ。
自分でも驚く程、あっさりと家に入れてしまった。
世間体だとか、お互いの立場だとか。
普段なら一歩引いて考えることも、
この少女を目の前にすると
全てがどうでもよくなってしまう。
それほどに、好きなのだ。
だが、今は我慢の時。
Aに無暗に触れるのも、白菊の反感を買い兼ねない。
あと三年、と自分に言い聞かせてながら
Aを抱きしめ直して目を閉じた。
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帝 - 27ページに過呼吸とありますが、過呼吸と言うのは呼吸のしすぎで、呼吸不足とは違います。こんなコメントからでごめんなさい。とても面白いです！ (2019年6月28日 21時) (
レス) id: 3e076c2094 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - ミコトさん» お気に入りと言って頂けてとても嬉しいです！！更新出来ない日が多々ですが、気長に待って頂けると嬉しいです(*´∀｀) (2019年3月8日 23時) (レス) id: bea7ebdcd5 (このIDを非表示/違反報告)
ミコト(プロフ) - 読んでいてドキドキします！お気に入りの話です!!続き、楽しみにしてます！頑張ってください^ - ^ (2019年2月26日 23時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 美冬さん» コメントありがとうございます！いやいや、ハマったと言って頂けるだけて嬉しいですよ(*´`*)更新ペースは遅いですが、応援を糧に頑張りたいと思います♪ (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf512996a (このIDを非表示/違反報告)
美冬 - とても面白いです！最近ハマったばかりのにわかですが、楽しく読ませてもらっています！これからも頑張ってください！ (2019年1月18日 21時) (レス) id: efbc55a2af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/itikara1141/
作成日時：2019年1月16日 0時
